nextbike and Co. / シェアリングバイク競合

相変わらず春がやって来ないベルリン。曇天の中、ハーケッシャーマルクト方面へ散歩がてら出掛けて来た。
道中に自転車が一般の自転車に混じってゴロゴロと駐輪してあるのに出くわす。本場ドイツのLIDL / DBnextbikeがお馴染みだが、最近また新たに参入してきたシェアリングバイクらしきものもちらほらと見かける。

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DBのCall a Bikeと提携しているLIDL-BIKE
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サイクルポートを持つnextbike

ネットで調べてもベルリンのシェアバイクを網羅したサイトがヒットしなかったので、近くを実際に歩いてみて新たに参入していると思われるバイクを写真に撮ってみた。
例えばこちら。Donkey Republicはコペンハーゲン発のシェアバイク。ベルリン参入は2017年の春らしいが、これまで余り見かけなかったように思う。

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コペンハーゲン発のDnkey Republic

カラーもオレンジでよく似ているものとしてはこちら。シンガポール発のoBikeだ。このoBikeはミュンヘンではいきなり7000台と急な参入を図ったことで、ちょっとした問題になっているようだ。サイクルポートを持たないため、乗り捨てられた自転車が街の景観を損ない、それを住民が快く思わないためか自転車が故意に壊されたり池などに放り込まれたりしているのだとか。ベルリンには2017年11月に688台からスタート。
参入する国や街に配慮したプロモーション方法をもう少し丁寧に考えるべきなんだろう。住民が一度悪いイメージを持ってしまうと、生活の一部としてシェアバイクを使用するユーザーを増やすことはかなり難しくなるはずだ。

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シンガポール発のoBike

そう言えば、こんな自転車も近くの公園の池で見かけた。2017年11月からベルリンでのシェアを開始した中国発のMobikeらしい。
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これら3つの新参バイク。カラースキームもオレンジ系で類似しており、正直あまり区別が付かない。北京発のMobikeは氷の張った池の上にわざわざ駐輪されていたが、これは明らかに嫌がらせか何かだろう。Mobikeは2017年11月にベルリンにひとまず700台で参入している。
これらのシェアバイクシステム、ベルリン市内を走るのであれば自分の自転車がすでにあるので余り使用する機会もなさそうだが、もし仮にどれかを選ぶとするならライプチヒ発のnextbikeかな、と思っている。nextbikeはベルリン市から補助金も出ている。ドイツ国内で50箇所、世界25カ国で展開中。
特徴としては、日本にも2017年12月に上陸した音楽ストリーミングサービス「Deezer HiFi」(ディーザー ハイファイ)と提携しており、Deezerの月額9,90EURのプレミアムplusアカウントを持っていればnextbikeの使用が毎回30分までなら無料になるという魅力的なサービスだ。
Deezerは、2007年にフランス パリで創立され、すでに世界80ヶ国以上と最も多くの国で展開されている音楽ストリーミングサービスで、”高品質”が売り4.1kHz/16bitなどのCD音質をそのままストリーミング配信しているのでロスレスで楽しむことができるのだそう。

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ベルリン発のBYKE Mobility

ベルリン発のスタートアップ、BYKE Mobilityのことを忘れていたが、このバイクはスカイブルーとイエローで他のバイクとは違い遠くからでもすぐに分かるカラースキームが採用されている。料金も30分50セントと他社の半額である。
ところで、シェアリングバイクのシステムをいち早く導入した欧州内の街は2007年のパリなんだそうだ。狭くて自転車に乗りやすいイメージがないので意外だった。
シェアリングバイク各社とも無料キャンペーンなどで、実際に試乗できる機会を設ければベルリン市民のユーザーも増えるのではないか、と思うのだがいかがだろう。それぐらい思い切ったキャンペーンでも打ち出さない限り、なかなか競合に勝てないような気がする。
追記になるが、今日(2018/4/12)に近所の公園の側に駐輪されている二台の新参バイクらしきものを発見。アメリカ、シリコンバレー発のLimeBikeらしい。HPでは欧州のステーションがフランクフルトとチューリッヒの二箇所のみに限られているので、もしかするとベルリンでテスト期間でも行っている最中なのかもしれない。カラースキームは春らしいライムとイエローでよく目立つ。
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こんな風に各国からシェアリングバイクがどんどん入って来ることにより、街の景観が崩れないのか、歩道脇に所狭しと駐輪されるバイクが歩行の妨げにならないのかどうか気になるところだ。ベルリン市内では既におよそ1万台ほどのシェアバイクが利用できるということだが、北京発のofoもMobikeも新たに1万台で市場参入を希望しているそうなので、ベルリンが乗り捨てられた自転車だらけになる日もそう遠くはなさそうだ。
環境に優しいのはいいが、果たして長期的に見てうまく機能するのだろうか?
参考記事:Leihräder US-Start-Up drängt mit E-Bikes in Berliner Markt – Quelle: https://www.berliner-zeitung.de/29780808 ©2018
またまた追記(2018/06/01)になるが、シェアリングバイクの台数が増えるに伴い、日々乗り捨てられるシェアバイクが目に余るようになってきた。写真はたまたまofoのバイクだが、基本的にサイクルポートを持たないシェアバイクはミッテのあちらこちらで道を塞いでいる。子供もシェアバイクを目にするたびに「ママ、またあの自転車やで!あそこにも、あそこにも。」と言い出す始末。

この状態を放置していると酷いことになるな、という懸念があったが、とうとうミッテ地区の区長シュテファン・フォン・デッセル(緑の党所属)が対策に乗り出した。「我々はシェアバイク1台ごとに特別使用料を課したいのです。」将来的にはバイク1台ごとに3ユーロから10ユーロの範囲で料金を課す意向だ。
ただし、サイクルポートを持つNextbikeなどはこれに当たらず、逆に有利に働く仕組みになっている。ポズナンでも実際に使ってみて感じたことだが、やはりサイクルポートを持つシェアバイクの方が街の景観や利用者の秩序を保つ、という意味では非常にスムーズなシステムであると感じた。
ベルリン市内でも特にシェアバイクの多く集結するミッテ地区が料金を課す決定を下したことは、ベルリンの他の地区にとっても非常に重要なシグナルとなる。フリードリヒスハイン・クロイツベルク地区では自転車道をブロックしているシェアバイクを治安局(Ordnungsamt)に撤去させたばかりだった。
ベルリンのシェアバイク競合、今後どのような展開を見せるだろうか。


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