ワルシャワのプラガ地区 / Warszawa-3

前回の続き。ワルシャワの歴史地区を後にし、トラムで橋を渡って街の北東にあるプラガ地区へ。この地区については、まだ余り開発も進んでいないせいかネット上の情報も少なく、仮に情報があったとしても「ワルシャワで最も危険な地区」というイメージばかりが先行しており、なんとなく腑に落ちなかった。

ベルリンからワルシャワへ移動する際、ポーランド航空の機内誌に「ワルシャワで面白いエリアのひとつがプラガ地区」という記述があったからだ。

今回の旅行は事前リサーチも特にせず、急遽現地で中高時代の同級生と落ち合うことにしたので、機内誌で目にしたキーワードを頼りに友人とあれこれ相談しつつ歴史地区を見た後にプラガ地区を目指すことにした。

目的地はZąbkowska通り周辺とSOHO Factory

まずはプラガ地区の壁画やアート作品を目印にそれらしき通りへ向かう。「ベルリンのクロイツベルク」という表現をしていた人もいたが、確かに修復されていない古い建物が目立ちホームレスなどの姿もちらほらと見かける。一昔前のクロイツベルクといったところか。ベルリンに比べると人通りはかなり少ないと言えるだろう。歴史地区から来ると、その対比に驚く人がいても全く不思議ではない。

それでも危険、というよりは少し薄汚れていて、あちらこちらにストリートアートが見られる、という程度である。ここにもワルシャワ独立100周年のロゴが。

道沿いのアルミホイルでぐるぐる巻きにされた建物はかなり目についた。Piotr Janowski による「Ząbkowska 9(ゾンプコフスカ通り9), take off!」というアート作品らしく、作品解説のプレートまで付いていた。19世紀に建てられたほぼ廃墟と化した建物をアルミホイルで包み込んだ作品だが、作者にとってはこれがこのエリアのポジティブな変化のシンボルだという。2015年にヤノフスキーはフロリダにある自宅も同様にアルミホイルで包み込んだそうだが、隣人たちの評判は良くなかったようだ。

この通りをまっすぐ行くと、以前工場だったような建物が左手に立っているのが目に入った。恐らくここが目的地のひとつのはずだ。入り口を探すが案内板などもなく、よくわからない。女性がひとりで開いている門から中に入り空き地を横切って向こう側へ歩いて行ったので、同じようにして空き地の裏にある建物の正体を探りに行ってみた。ベルリンの90年代も同じようにあちらこちらに修復中の建物や空き地が目立っていたので少し懐かしい感じがしないでもない。

外から見るとこれまた全く分からないが、一歩修復作業中の敷地内に入るとこの通り。

危ない云々以前に、かなりヒップな場所になろうとしているのが一目瞭然である。皮肉なことにクロイツベルク移転を実現できずに終わったグーグルのスタートアップキャンパスが入っていたのだから、驚きも尚更だ。プラガ地区の現在の状況が地下高騰や家賃上昇なども含め急激に変化するのは目に見えている。ジェントリフィケーションの余波がやってくるのも、もはや時間の問題だろう。ワルシャワがベルリンの二の舞にならないことを祈るしかない。

絵本のポップアップストア兼ギャラリー内にいた女性に聞いたところ、まだ敷地全体の工事そのものは終わっておらず、一時的な貸店舗を利用してポップアップストアやテンポラリーギャラリーなどが入っている状況だとか。

プラガ地区への道しるべ的な役割を果たしていた青いアート作品にもここで再会。きちんとしたギャラリーに収まっていると受ける印象が全く違う。ギャラリーは残念ながら閉まっていて、作者にまでたどり着けなかった。

グーグルキャンパスの方も活動はしているようだが、まだ建物の外にはCAMPUSのロゴが無造作に置かれているのみ。

この場所だが、以前はウォッカ工場だったようで、敷地内にはポーランドウォッカ工場博物館もある。ライプチヒの紡績工場跡地といい、欧州の再開発は工場の跡地をうまく利用しているところが多い印象を受ける。ロフトアパートなどが併設しているのも特徴的だ。敷地の広さや天井の高さ、頑丈な煉瓦造りなど再利用に際して利点が多いのだろう。

どうやらこちらが正面入り口のひとつであるらしい。Koneserというネーミングもここまで足を運んでみてやっと分かった。

余談になるが、プラガ地区について検索していると、いかにも旅慣れた風のバックパッカーの男性がゾンプコフスカ通りを歩きながら、この建物を背後に「プラガ地区はかなり危ないので気をつけてください。」という動画を2018年の夏にYouTubeに投稿していた。正直、街の持つポテンシャルに気付いてさらにそこからもう一歩踏み込んで欲しかった。

日本語だけに頼ると、どうしても情報が偏ってしまうので、グーグル先生には日本語だけでなく英語、そして可能であれば現地語で尋ねるようにするのがベストだと常々感じている。

そしてさらに言えば、ネット上の情報ばかりに惑わされず自分の感覚に従って、とにかく街を自由に歩いて見て欲しい。

既に飽和状態のベルリンに比べると、ワルシャワはまだまだ伸びしろのある面白い街だ、というのが今回の短い滞在で受けた私個人の印象である。

Koneserだけの紹介で終わってしまったが、SOHOの方もかなり興味深かったのでこちらについてはまた次回。