以前、2017年に行われた連邦議会選挙について投稿したことがある。そこでも「2015年のメルケルの難民政策をきっかけに、ポピュリズム党とも呼ばれるAfDがメディアで取り沙汰されるようになった。」といった内容に触れた。
当時見られたこの傾向は残念ながら今でも健在であり、どちらかと言うと徐々に勢力を伸ばしつつあるようにも見える。
そのような流れに対抗すべく、草の根活動をしている協会がある。
Denk-Mal-Werteとは”Denk mal über Werte nach”「価値について一度考えよう。」といった意味合いを持つネーミング。
サシャ・グラメンスドルフ氏(Sascha Grammelsdrof)とそのチームはDenk-Mal-Werte協会を5年前に立ち上げ、ベルリンや新連邦州(旧東ドイツ)の学校を訪問し、価値に関する議論の場を提供している。
協会代表のグラメルスドルフ氏は「社会の多くの場所で亀裂が見られる。」と話す。寛容な社会で暮らすことを拒否するような力が働いている、というのだ。
グラメルスドルフ氏はミッテ区のJugendfreizeithaus(青少年自由時間の家)の主任でもある。Denk-Mal-Werteの構想は、ある学校の生徒たちが社会的団結の維持のために何かできることはないか、と彼に相談を持ちかけたことがきっかけとなった。
現在、Denk-Mal-WerteはミッテのHemingway-Schuleで活動中だ。この学校はOberschuleと呼ばれる高等学校だが、500人ほどいる生徒のなんと95%がヴェディング地区に住むアラブ系移民の子供たちだ。
「92%の生徒たちがプロジェクトへの参加意思を示しました。」とグラメルスドルフ氏。プロジェクトの参加・不参加は投票で決めるという。これも民主主義のルールを理解する上で非常に大切なこと。
次に学校の代表モチーフとなるキーワードを「リスペクト、寛容、信用、正義、チームワーク、誠実」の中から選出する。今回は「Loyalität=誠実」が選ばれた。
続くプロジェクト・デイでは移民の子供たちが持つ「Loyalität=誠実」に対する理解が他の生徒と異なることが明らかになったのである。
「家族や友人は団結し、『死守する』」という理解だ。ある生徒はこう語った。
これに対し、グラメンスドルフ氏は「すぐに価値を変える、ということではなく、選んだ価値について一度考える機会を持ち、他人がその価値について別の考えを持ったり解釈をしている、ということを理解することに意味があるのです。」と述べた。
こういったプロセスは遊びの要素を取り入れた方法で行われる。2、3人からなるグループでそれぞれの考える「価値」についてのボードを作成し、それを持って街角によく設置されている証明写真ボックスで写真を撮る。撮影された写真は学校の壁に張り出される、といった具合だ。
プロジェクトの締めには、”Denkmal”(記念碑)の設置が待っている。
Hemingway-Schuleの体育館で息子がサッカーをしているので、完成したら写真をアップしたいと思っている。
現在進行形のプロジェクトのため、まだHPには写真などがアップされていなかったので、過去のプロジェクトの写真を何枚か貼っておこう。
Denk-Mal-Werteの活動は連邦経済エネルギー省およびBeauftragten der Bundesregierung für die neuen Bundesländerなどからも助成金が出ている。
参考:Denk-Mal-WerteのHP
Berliner Woche: Hemingway-Schule in Mitte stimmt über Werte ab