小学校帰りの長女とキタへ長男を迎えに行く途中でカラフルなショーウインドーの前を通り過ぎた。「あ、ママ、Schuhltüteやん。れいくんが小学校に入ったら、るなちゃんにもまたくれる?」と言うので、弟はまだ幼稚園だし、彼が小学校に入学する頃にはすでに4年生になっているから、もうその時は欲しいとは思わないんじゃないかな、と返事をしておいた。また入学準備シーズンがやってきたのだなぁ、と何だか感慨深い。そう、そしてこの謎の物体であるSchuhltüteが入学式の要なのだ。
それにしても、去年の今頃は色々と気疲れする事が多かった。ドイツ式の入学式など経験したことがないので、お祝いの仕方がさっぱりわからなかったからだ。Schuhltüteという三角コーン状の筒に入学祝いを詰めて送るということは人づてに聞いて何とはなしに分かってはいたものの、さて、実際に何をどのくらい詰めればいいのか皆目検討が付かない。小学校の入学式とやらも日本のそれとは全く違うらしいということは聞いていたが、実際その場に行ってみるまでは様子が分からない。「入学式」という日本のような形式張ったものではなく、入学イベントというか、ラフな格好で来ている人も多く、小さな講堂で高学年の生徒たちが新入生歓迎の出し物をしてくれたのが印象に残っている。あくまでも、子供たちが主役なのだ。クラス担任とHortと呼ばれる放課後の活動に関わる保育士の紹介があり、新入生は先生たちにそれぞれの教室まで連れて行ってもらい、親はケーキやコーヒーなどを食べたり飲んだりしながら、子供たちが戻って来るのをのんびりと待っていた。
当日になっても分からなかったのは、果たしていつメインであるSchultüteを渡せばいいのか、の一点に尽きた。希望者は事前に学校の事務所にschultüteを預けられる、と聞いていたので、てっきり担任の先生から新入生に渡されるのだとばかり思っていた。戻って来た子供たちはそれぞれSchultüteを持っている。しかし、戻って来た長女はなんと手ぶらではないか。「あれー、どうしたの??」と聞くと、半ば半べそになりながら、「ないねんて。」の一言。おーい、おい。またか、ドイツ。とにかく段取りの悪さが半端ない国なのである。保育士の先生を何とか捕まえて、事務所にないか確認してもらうと、ポツンとひとつ残っていたんだそうだ。ネームタグを付けておいたのが、逆効果だったようで、もっと分かりやすいところに名前をドーンと書いておくべきだったようである。
とまあ、初日からドイツの(というよりはベルリンらしい)小学校の洗礼を受けたのであった。あれから、あっという間に1年が経とうとしているが、未だに日本の小学校では考えられないようなことが後を絶たない。
これまた、忘れないうちに書いておきたいので、また別の機会に。