«Они везде, но обычно люди считают их недостойными внимания. Мы же считаем ровно наоборот, поэтому создали наш уникальный Музей.»
— В. Архипов「それらはどこにでもあり、人々はそれらに価値があるとこれっぽっちも思わない。私たちはそれとは正反対の考え方に基づき、このユークな博物館を始めた。」
ロシアのリャザン出身のユニークなアーティスト、ヴラディミル・アルヒポフ。彼はデュシャンのレディメイドとは似て非なるものをアート作品として収集することを決めた。
彼のユニークな作品に出会ったのはモスクワで建築雑誌project russiaの翻訳をしているイヴァンの友人に雑誌を手渡された頃に遡る。ベルリンでの引っ越しの際に建築を学んでいた知人に何冊か譲ってしまったため、手元には2004年32号の1冊しか残っていないのだが、とにかくグラフィックやレイアウトも美しく内容も充実しているので一度手にとってみてほしい。
この雑誌の中で紹介されていたのが、こちらの作品だ。
一見何かわからない白い塊。どうやら石鹸らしい。
このオブジェに関する人物とストーリーが記されている。このある物にまつわる物語がとても味があり、面白いのだ。
10年ほど前だったと思います。何と言えばよいのか、そう物不足だったのです。工場で必要なすべてが消えていきました。従業員に最低限必要な物すら供給できなくなったのです。私は当時、屠殺場で働いていたのですが、食料品を扱っていたのでかなり頻繁に手を洗う必要がありました。しかし、石鹸すら与えられなくなったのです。だからといって工場を閉めてしまうわけにはいきません。そこで知恵を絞り、以前オルスクで働いていた時のことを思い出したのです。そこでは石鹸を手作りしていました。そこで、自分で作るための材料と分量を考え、手作りしたところかなりうまくできたのです。その石鹸は油汚れをきれいに落としてくれました。作り方はかなり原始的で、電気ストーブの上に置いたバケツの中で煮たのです。材料は動物の油と灰汁でした。工場長が石鹸のことを知り、石鹸を注文しました。分量は覚えていませんが、そうして私は工場で働く従業員に必要な石鹸を作るようになったのです。
ロシアでモスクワ郊外や田舎に遊びに行くと、こういったとても原始的な、それでいてどこか懐かしいような不思議な物体に出会うことがある。
不恰好だが、こんな風にどこか温かみのある物たちを集めた博物館。興味のある方は是非、彼のホームページを訪ねてみてほしい。