少し重いテーマが続いたので、今月突然始まった「苦手克服週間」について報告しておこうと思う。
昨年の12月に「2018年を振り返って」という投稿をしているが、そこでも
- 苦手なことを克服
という項目を立てている。具体的にはジョギングと車の運転だ。ジョギングはありがたいことにほぼ生活の一部に組み込まれ習慣化するのに成功した感がある。得意になったというレベルではないが、継続できているので良しとしよう。
さて、車の運転の方はどうだろう。実はベルリンで免許を取得したのが2003年。映像制作会社に入社した翌年に持っておいた方が何かといいだろう、と思い一応免許は取っておいたのだ。
ドイツでは教習場という区切られた場所での練習がなく、なんと最初から路上運転。これには正直かなりびっくりした。高速道路を150キロで走ったり、夜間に国道を走ったり、色々やった記憶がある。
しかし、免許取得後に知り合いが「壊してもいい車だから乗っていいよ。」といって貸してくれた車が今から思えば全ての元凶だった。VWの赤いゴルフ。友人が中古で確か600マルクで買ったとかいう代物だった。
これがすごい車で、普通に走っていると黒煙は出るは、タイヤはボコボコ、ドアがきちんと閉まらないので隙間風が入って寒い、というあり得ない状態だった。それでも動くだけマシだろうと諦めて、車大国ドイツでは到底考えられないような車と格闘する羽目になってしまった。
なんだか乗っていると不安になる車だったので、そのボロ車を自力で修理屋まで持っていった。「うーん。これはひどいな。よくこんな状態で乗ってましたね。タイヤがもう限界ですよ。というか、これ以上乗らない方がいいかも。」と言われた。やはり。タイヤは即交換。
そんなある日のこと。とても寒い日だった。性懲りもなくそのボロ車に乗って走っていたら、恐ろしいことがおこったのである。寒すぎてフロントガラスに霜が降りて前が見えなくなった。ドアに隙間があってヒーターが効かない車に乗るとこうなる。
はぁ!?なにこの車!
信号が赤の間にフロントガラスを布で拭うものの、走り出すとまた同じことが起こる。その辺に車を放り出して帰るわけにもいかず、ほぼ半泣き状態で家にたどり着いた。
さすがに怖かったので、「寒すぎて前が見えなくなったから冬にはもう乗れない。返すね。」と友人に引き取りにきてもらったのを覚えている。返した時には2度くらいどこかでぶつけていたように思うが、もはやスクラップ行きの車だったのだろう、特に何も言われなかった。
それらの恐ろしい経験もあり、車にはそれからとんと見向きもしなくなった。モスクワでもあれだけボロい(ひどい状態)の車で走る人はいないんじゃないかと思う。寒いだけで走行中にフロントガラスは曇らないはずだ。
はっきり言って初心者にボロ車はハードルが高すぎる。滅茶苦茶である。生きててよかった。
とまぁ、相変わらずよくわからない車デビューを飾ったわけだが、テレビの撮影の仕事ではロケバスを運転する専門のドライバーがつくし、そもそもアクセスのよいところに住んでいたため通勤も電車1本で20分強。車を買う必要性も感じなかった。
そのまま今日に至ったのだが、「車の運転は死にかけるし怖い。」という恐怖が、どうやらボロ車体験で植え付けられてしまったようなのだ。
子供ができてから車が運転できた方が楽だ、というシチュエーションが増えてもなかなかペーパードライバーを克服できなかったのである。
なんだか思い返すと、自分で自分が可哀想に思えてきた。
「今年ももうすぐ終わる!これではいかん!」となぜか先月末に突然思い立ち、息子が水泳教室で泳いでいる間にプールの向かい側にあった教習所に何も考えずに飛び込んだ。いつもはがっちり閉じられている扉もなぜかその日は全開。暖かい気持ちのいい日だったのだ。
すると、いとも簡単に教習の予約ができてしまい、先週からいわゆるAuffrischungskurs(リフレッシュコース)という免許は持っているが実際にはほとんど運転していない人のためのコースを始めることになった。
「免許は16年前(!)に取ったんですが、全く乗ってなくて。まずは5回くらい乗って様子をみたいんですが可能ですか?」
なんだ、もっと早く初めておけばよかった、と軽く後悔するくらい手続きは簡単だった。先週に1時間半、今週は昨日と今日で3時間。残り後2回である。
これまでの感想:普通の車だと運転するのもそれほど怖くはない。