ポズナンからベルリンに戻ったので、久しぶりにベルリンネタで。今回はベルリンの街を歩いていて気になるもの第二弾。
広告塔についてはすでに投稿したが、今回は道端で見かける緑色の手押しポンプについて少し書いてみようと思う。
自宅のアパートの前の道端に緑色の古いポンプがある。
水が出たり、出なかったりするのだが、子供たちはよくこのポンプで遊びたがる。
この緑色のポンプ、散歩しているとたまに見かけるのだが、これまでその用途がよく分からなかった。
ターゲス・シュピーゲルの記事によると、この手押しポンプ、緊急時のために保存されているのだそうだ。
ベルリンに現存するポンプだけで、2107機あり、そのうち900が国所有、残りはベルリン市が所有している。
それらの多くはすでに作られてから100年以上も経っており、魚やドラゴン、かえるなどの装飾が施されているものもある。
一番古い物だと、1900年初頭に歴史がさかのぼる。当時は日常の生活水のために列をなしてバケツで水を汲み上げていた。
上下水道の施設が整うと、今度は消防士がポンプを使って消火活動を行うようになった。
第二次世界大戦中およびその後の数ヶ月間は水道設備が破壊され使えなくなってしまったので、ベルリンの住民たちは手押しポンプで水を汲み上げることで難を逃れた。280万人の住民は再びバケツを持って手押しポンプの前に並んだのである。
手押しポンプの維持費も馬鹿にならない。管理費や修理費用、5年ごとに行われる水質検査などにかかる費用は地区ごとに年間10万ユーロにまで上るという。
今日まで緑の(一部グレーもあり)手押しポンプはベルリンの非常時、戦争やテロ、停電などを想定して保存されてきたのである。
水道が断水しても、ベルリンの住民は水を得ることができる。
ただひとつ問題が。地下水の多くは化学的に、あるいはバクテリアによって汚染されている。非常時には、市の方で常備している3000万個の錠剤によって飲料水の水質に改善できるのだという。
ベルリンの街角で緑色の手押しポンプを見かけたら、錆びないように、そして地下水が枯れないようにキコキコと押してみてほしい。
これからの季節はとくに周囲の木が喜ぶので、一石二鳥だ。
これまで、子供たちに「こらこら、水がもったいなから遊ばないで。」なんて言っていたが、これからは緑色の手押しポンプを心置きなく使ってもらおうと思っている。
またこれで日頃から気になっていたなぞがひとつ解けた。