SNSって素晴らしい。
ツイッターでふと目に止まった「世界一かっこいいバンドだと思う。」という一言がきっかけでイスラエル発のイラク・アラブ音楽に出会うことがあるのだから。
彼らの音楽背景などについては以前、こちらのブログでも触れたのでここでは詳しくは書かないが、彼らがベルリンでライブをする日が来ないか、と半ば本気で待ち望んでいた。
フェースブックで彼らをフォローしていたおかげで、ベルリンでライブがあることを知ったときは心底驚いた。
そのコンサートが昨晩、ベルリンのクロイツベルクにあるGretchenというクラブで行われた。
ブログに記事を書いてから1年経たないうちに、すでにライブ体験ができたわけだ。ベルリンに住んでいるとカルチャー関連のイベントはやたらめったら多いので本当にありがたい。
クロイツベルクのメーリングダム付近と言えば、カフェやレストランなどが並ぶベルクマン通り界隈を連想するが、会場のGretchen周辺は人通りもまばらでかなり辺鄙なロケーションだった。
どうやらGretchenはイギリス王女でドイツ皇帝・プロイセン王フリードリヒ3世の妃だったヴィクトリア女王の近衛連隊の厩だったらしい。ホール内の交差ヴォールトやフィリグリーと呼ばれる銀線細工の柱などが当時の面影を残している。
Dudu Tassaはイスラエルのロックシーンでよく知られたシンガー・ソングライターであり、12枚のアルバムをリリースしている。1枚目のアルバムはなんとDuduがまだ13歳の頃にリリースされている。
とにかく一度でいいから、Duduの歌声をライブで体験してほしい。Dudu Tassa & The Kuwaitisとしては三作目に当たるエル・ハジャールはとにかく面白い。
収録作品中の10曲すべてがDuduの大叔父サレハ・アル・クウェイティによるものだというので、音楽的にはアラブ音楽と言えるが、それをロック・ヒップホップ・レゲエにも聞こえる多彩なアレンジでリバイバルさせている。
2017年にはRadioheadの全米ツアーで前座を務めたそうだし、日本のサマソニに出演してもいいんじゃないだろうか。踊れること間違いなしだ。
ベルリンのライブ会場にはイスラエルやイラク出身だという観客も数人おり、もちろん踊り倒して盛り上がっていたことを忘れてはならないだろう。
“Dudu, I love you!”
という男性からの声も多かった。イスラエル、イラク、ドイツ、日本、多国籍でとても楽しめたライブ体験だった。言葉が分からなくても、アラブ音楽は肌で感じられ、訴えかけるメロディーやリズムが魅力的。最高の笑顔で楽しそうな観客を見ていると音楽の力は本当に偉大だと素直に思える。
“Sorry for my English! Sorry for my Arabic!”
次にまたベルリンでライブがあった際は、騙されたと思って一度足を運んでみてほしい。超絶オススメバンドである。
過去の音楽的遺産を未来に繋げるDudu Tassaの今後に注目したい。