DUDU TASSA & THE KUWAITIS / イスラエル発のクロスカルチャーバンド
またあるツィートがきっかけのネタ。今回のキーワードとの出会いは素晴らしいものだった。
DUDU TASSA & THE KUWAITIS
今、「世界一かっこいいバンド」だと思う、という一文に惹かれ映像リンクに飛んでみた。それがこちら。
ドゥドゥ・タッサとクウェーティー兄弟(Dudu Tassa & the Kuwaitis)の「サーイブ・ヤー・ガルビー・サーイブ / “My heart has shattered into pieces”」。
Dudu Tassa & the Kuwaitisはイスラエル発のクロスカルチャーなユダヤ・アラブプロジェクトで、20世紀初頭のイラク音楽界で最も人気のあったAl-Kuwaiti Brothersの音楽を現代風にアレンジしてリバイバルさせている。
ドゥドゥ・タッサはイラクのユダヤ人、そしてイエメン人としての家系を持ち、自身のルーツを探るうちに素晴らしい音楽の歴史と向き合うことになる。彼の祖父と大叔父はクウェーティー兄弟として知られ、20世紀初頭から半ばにかけてバグダードで偉大な作曲家そして音楽家としてイラク、そしてアラブ世界を代表する音楽家にまで成長していく。彼らは1950年代にユダヤ人であることが理由で、イラクで迫害を受けたためイスラエルに移住している。
参照:https://www.the-kuwaitis.com/about1
私自身のアラブ音楽との出会いは、ベルリンに来てすぐに知り合いになったアルジェリアとフランス人のハーフだったミシェルやその友人たちが聴いていたシェーブ・ハレド(Cheb Khaled)他のライ音楽や、ルーム・シェアをしていたシリア人の同居人が自宅で演奏していたダルブカや常に流れていたシリア発、その他のアラブ音楽である。
ドゥドゥ・タッサとクウェーティー兄弟の「サーイブ・ヤー・ガルビー・サーイブ」、には何と言うか一撃でやられた。
たまたま、イスラエルやシリア関連のネガティブな記事が気になっていたところだったのだが、人というのは基本的に自分には理解できないものや知らないものに対する恐怖心というものがあり、それが様々な障壁を作ってしまうのではないかと思うのだ。
音楽から入ってしまえば、そんな恐怖心も一瞬で払拭できるはず。彼の歌声を聴きながらそんなことを考えた。
今のこのタイミングで彼らをベルリンに呼ぶことはできないものだろうか。是非、彼らの紡ぎ出す音を生で体感してみたいものだ。
そんな彼らのプロジェクトによるファーストアルバム、Dudu Tassa and the Kuwaitis (2011)のレコーディングの様子はIraq’n’roll (2011)に収められている。
このアルバムに収められている曲はイラクのアラビア語で歌われているが、タッサはこのプロジェクトのために特別に言葉を学んだのだそうだ。
アラビア諸国やイスラエルの歴史については正直、ほとんど無知に近い状態なのでここで自分の見解を述べることはしないが、少しづつでも知る努力をしていこうかと思っている。
タイトル写真:https://aicf.org/artist/dudu-tassa/