キタにお迎えに行こうと外に出ると、何やら大きな段ボールが歩いていた。大きさはちょうど冷蔵庫くらい。横を通り過ぎようとしたら、中から人が出てきた。目があったので、ハローと挨拶してそのまま通り過ぎたが、やはりちょっと気になったので振り返ってみた。
すると、何やら箱の下の方でごそごそとやっている。
長くなりそうだったので、事の結末を確認することはしなかった。
ただ、何と言うかこういう場面に出くわすと、ベルリンに来たばかりの頃を彷彿とさせられて、まだまだベルリンも捨てたものではないな、と妙に安心してしまった。
90年代半ばのベルリンは歩いているだけで、次から次へと本当に色んなことに出くわした。散歩のお供にスマホもポケモンもまったく必要なかったのだ。
ストリートパフォーマンスなのか、新手の小遣い稼ぎなのかは不明だが、彼によい出会いがたくさんあったことを願いつつ。それにしても、あの箱男が敢えて人通りの少ない脇道でごそごそやっていたことだけが不思議でならない。