欧州では数年前から夏時間および冬時間の導入をやめるかどうかの話し合いが持たれている。
欧州連合は2019年を最後に夏と冬時間の切り替えをやめるはずであったが、やはりそう簡単に実施までにはこぎつけなかったようだ。
「早くとも2021年には従来の夏と冬時間の切り替えを廃止する見込みだ。」とオーストリアの交通大臣で欧州連合代表部のノルベルト・ホーファーは述べている。そうでなければ、ヨーロッパの時間設定がバラバラになる危険性が出てくる。
欧州委員会委員長ジャン・クラウド・ユンカーは2018年9月中旬に、2019年を最後に夏と冬時間の切り替えをやめることを提案した。
その背景にはオンラインで集計したアンケート調査の結果がある。80%以上に当たる4600万人が従来の時差に対して反対の意を示したからだ。ドイツ国内だけでも300万人が夏・冬時間の設定に反対していることがわかった。
夏時間を採用することで、夏には仕事終わりにも太陽の光が浴びられ、冬でも活動時間が延長できる、と考えているようだ。幼稚園や学校に通う子どもたちにとっても明るい戸外で遊ぶ時間が増えると。
しかし、この計画には大きな落とし穴がある。EUレベルでは冬時間から夏時間の移行を行うかそうでないかという決定は下されるが、実際にどちらの時間を採用するかについては国レベルに決定権があるためだ。
ビジネスや旅行者にとって隣国が違うシステムを採用するとなると、かなりの混乱が予想される。国家間の調整が必要課題となる。
「仮にドイツやハンガリーがイタリアやオーストリアと異なる時間帯だとすれば、こんな意味のないことはない。」とオーストリアのホーファーは言う。
現時点ではポーランドからスペインまで中欧に広範囲で同じタイム・ゾーンが設けられている。ドイツのほか16のEU加盟国に適用されている。これらの国々の旅行者やビジネスへの便利性は引き継がれなければならない。
仮に17国すべてに夏時間が採用された場合、スペインでは冬に10時前まで暗いことになる。逆に冬時間が採用された場合にはワルシャワでは夏は3時まで明るいことになってしまう。年に2度の調整でこの極端さを緩和しているわけだ。
ドイツに住むようになってから、この年に2度の時間調整を何度も経験しているが、たかが1時間されど1時間、毎回軽い時差ボケのような感覚を覚える。
これがひどい人だと、不眠や頭痛といった身体の不調をきたすと言うのだから大変なことだ。深刻な影響を訴える人々によるイニシアチブまであるようなので、参考までにリンクを貼っておこう。
日本で育ってきただけに、夏時間やら冬時間はややこしく感じられるため、ないならないに越したことはないのだが。。
現行のシステムは1980年に制定されている。最初に導入されたのは1916年だという。第二次世界大戦中に夏時間が導入されたり、廃止されたりといったことがあったのだそうだ。
参考記事:Die Zeit: Zeitumstellung endet frühestens 2021