なんだろう。今日もこれと言って書きたいテーマが見つからない。
毎日、こうしてブログのために文字を綴り、SNSを開くたびに短いテキストを細切れに量産したりしていると、たまにこういう日がある。
昨日は1日の持ち時間をテーマに投稿したこともあり、ネットによって集中力が削がれることについてツイートした。
子供の頃、特に小学生の高学年になったとき、大げさではなく本を毎日1冊くらいのペースで読んでいた時期がある。
自分でも覚えているが、それこそ夕食を返上しかねないほどの勢いで読みだすと止まらなかった。
「そろそろごはんよー。」
と、呼ばれても返事もせずに黙々続きを読んでいたので、母親も呆れていたに違いない。
「あんたは、本ばかり読んでたから逆に外へ遊びに行きなさい!って言ってたなー。」と母親から聞いたこともある。
その頃に読んでいたのが、父親が買ってきた「冒険者たち」だったり、「モモ」や「果てしないものがたり」だったりした。「ナルニア国物語」も大好きだった。
これらの本に共通する点は、現実の世界から、ふとしたきっかけで本の中へ入っていく、というもの。あるいは、今いる場所から未知の世界へ冒険に出かける、という設定のストーリーだ。
ちょうどその頃、通っていた小学校でクラス全員を敵に回していたこともあり、物語の中に半ば逃避しようとしていたのだろう。学校からひとりで走って家に戻り、自分の部屋に閉じこもりカーテンまで閉めて本の世界へ没頭していたのを覚えている。
今、ちょうど読んでいる本にぴったりの箇所があったので、引用しておきたい。
ハニチャ、どこにいるんだ?頼むから、本を覗き込むのはやめて、仕事をしろ!中庭は塞がっちまうし、おまえはそこの下で夢を見て、ますます頭がおかしくなるんだ!そして僕は、紙の山の麓で茂みの中のアダムみたいに身を縮め、手に本を持って、今しがたまで僕がいたのとは別の世界に、怯えた目を見開いている。というのも僕は、本に読み耽るときはまったく別の所にいて、テキストの中に入り込んでしまっているからだ。我ながらそのことに驚き、自分が本当に夢の中に、より美しい世界の中にいたこと、真実のちょうど心臓部にいたことを、悪びれて認めなければならない。自分が自分からこれほど離れることができたということに、毎日十回もびっくりする。
「あまりにも騒がしい孤独」ボフミル・フラバル 著、石川達夫 訳
クラス全員を敵に回した、と大げさな書き方をしたが、親友の女の子が学習塾へ通い始めたので後から入ったのだが、クラス分けのテストで同級生よりひとつ上のクラスになったのがきっかけだった。
日本特有の小学生受験対策コースで点数によってクラス分けをする、という典型的な方法である。
クラスを仕切っていた男子生徒より、後から入ってきた新参者が上のクラスに振り分けされたのがよっぽど気に入らなかったのだろう。翌日の朝、教室のドアを開けた瞬間、水を打ったような静けさが広がったのを記憶している。
まぁ、なんというか本当にくだらないクラスに頼りない担任だったのだが、思えばその頃から日本的な右へ倣えな空気に嫌悪感を抱くようになった。
連れションが一向に理解できず、本の続きが早く読みたいのでひとりでさっさと走って家に帰る小学生の私。人に合わせるのが苦手でマイペースな私。
かと思えば、音楽会ではピアノに立候補、保健委員長や料理クラブの部長、運動会ではクラス対抗リレーに出場という感じだったので、イベントの類は好きであった。
いじめられているのだが、やりたいことは気にせず立候補してやるというアンバランスさである。
いじめている側にとっては火に油を注ぐような面白くない状況だっただろう。
くだらない「嫌がらせ」は続き、身体も強い方ではなかったので出席日数ギリギリをキープして家で好きな本ばかり読んでいた。親も特に何も言わずそんな私を放っておいてくれた。ありがたいことだ。かなり自立した子供だったので、特に心配もしていなかったように思う。
ただ、公立中学にだけは行きたくなかったので、塾の講師に勧められた中高一貫教育の国立の学校に入るために受験をした。落ちていたら人生終わっていたかもしれないが、これまた運良く一次の抽選に受かり、二次の筆記実技試験にも合格することができた。小学校の卒業式は満面の笑みで出席。
「やっと終わったー!やっと卒業できる!」
ここで逃げ道を作れたことは大きかった。進んだ学校でもクラブ活動や友人関係で苦労したことがなかったわけではないが、実験的な学校だったので公立中学や高校に進学するよりは自由な校風で助けられたことも多かったはずである。
そんなわけで、自分の中で本というか小説や物語というジャンルはとても重要なカテゴリーになっているし、今でも非常に大切なものだ。
残念ながら、いじめ問題というのはドイツにも普通に存在する。ブログでも過去に何本か書いているので興味のある方は読んでみてください。