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ドイツのDV問題〜Häusliche Gewalt〜

表題のテーマ。今朝のツイッターのTL上に流れてきた投稿を読み、ドイツ国内のDV(家庭内暴力)をめぐる状況が気になったので統計などを参考にまとめておきたいと思う。

DVと聞いた時、まず最初に思い浮かぶのは私の場合は家庭内で主に女性が暴力を受けている、という図である。

実際はどうなのだろうか。

Bundesministerium für Familie, Senioren, Frauen und Jugend (BMFSFJ / 連邦家族・高齢者・女性・青少年省)のサイトに2018年11月21日付でHäusliche Gewalt(家庭内暴力)というタイトルの投稿を見つけた。

以下、一部を引用しておく。

ドイツにおける家庭内暴力

4人に1人の女性が少なくとも1度は身体的あるいは性的な暴力をパートナーによって受けている。その対象となっているのは全ての社会的地位を持つ女性である。家庭内暴力を戦略的に防止するには国、そして民間の機関が相互的に協力することが不可欠だ。

パートナーから暴力を受けているのは、82%以上が女性であり、そのほぼ半分以上が暴力を与えたと見られるパートナーと同じ場所で暮らしている。この数字は警察の犯罪統計Polizeiliche Kriminalstatistik (PKS) を元にしている。2017年には13万8893人がパートナーによる暴力の被害者となっている。その内、11万3965人が女性である。

PKSの統計は以下の女性に対する未遂および犯罪行為が取りまとめられている:

・故意、単純な身体的傷害:6万9000件
・脅迫:1万6700件以上
・危険な身体的傷害:約1万1800件
・脅迫・ストーキング・強制:2万9000件ほど
・自由剥奪:1500件
・殺人または撲殺:364件

強姦や性的な強制は、ほぼ100%の被害者が女性となっており、ストーキングや脅迫についてはほぼ90%を占める。故意あるいは単純な身体的傷害、殺人あるいは撲殺については81%が女性の被害者となっている。これらの数字はすべてパートナー間で起こった事例である。

PKSではパートナー間でどのような割合でどのような暴力が振るわれるのかといった全体像を見ることができる。

家庭内暴力のダークサイド

2004年にStudie “Lebenssituation, Sicherheit und Gesundheit von Frauen in Deutschland” 「ドイツにおける女性の生活状況、安全および健康」に関する研究が発表された。

この研究では存在する目の届かない部分を出来るだけ暴くことが目標とされた。それによると、16歳から85歳までの女性の約25%が生涯において少なくとも1度は身体的および(または)性的な家庭内暴力を経験しているという結果であった。類似した内容の結果が2014年3月に発表されたStudie der Europäischen Grundrechteagentur zum Ausmaß von Gewalt gegen Frauen in Europa「欧州内における女性に対する暴力の規模に関する欧州基本法エージェントによる研究」においても見受けられた。

全ての社会層における家庭内暴力

ここで問題になっているのは社会的に問題のある層だけで起こっているわけではない。2009年に発表された Studie “Gewalt gegen Frauen in Paarbeziehungen”「家庭内暴力における女性に対する暴力」では、中流および上流の教育を受けた社会層の女性たちも暴力の犠牲になっていることが証明された。リスク因子としては離婚や離婚への意思表示に加え、幼少や青年期の暴力経験が挙げられている。

連邦モデルプロジェクト”Berliner Interventionsprojekt gegen häusliche Gewalt” (BIG) 「家庭内暴力に対するベルリン介入プロジェクト」および”Kooperations- und Interventionskonzept für Schleswig-Holstein” (KIK Schleswig-Holstein)「シュレーヴィッヒ・ホルシュタイン州のための連携および介入コンセプト」によるポジティブな経験から、多くの連邦州でプロジェクトが設立された。

連邦家族省の要請で様々なインターベンションおよびコーポレーション・プロジェクトが学術的にサポートされた。

介入プロジェクトではこれまでの家庭内暴力を巡る議論からパースペクティブの変更を目的としている。公的介入の明確な指針変更が「暴力をふるうものが出て行け!」というコンセプトによって打ち出された。

2002年の暴力防止法の導入や順次行われた警察法の拡張などにより、加害者を住居から立ち退かせる権限を警察に与えたことがこれに当たる。

犠牲者は住み慣れた住居や場所を失うというリスクを背負う必要がなくなり、加害者は国から暴力が見過ごされるのではなく、罰せられるということを示されることになる。

ホットライン「女性に対する暴力」 Hilfetelefon “Gewalt gegen Frauen” では008000-116 016に電話をすると無料相談が受けられる。被害者の女性だけだなく、家族や友人、社会的繋がりを持つ人々、専門家などによる相談にも応じている。ホットラインは24時間利用可能で、ドイツ語や英語のほか多言語(18ヶ国語)に対応している。

ドイツの統一記念日とはなんら関係のない投稿になってしまったが、少し気になったテーマなのでまとめてみた。

自分の身近なところで困っている人がもしいるのであれば、ホットラインなどで相談してみることをお勧めしたい。

ホットラインリンク:https://www.hilfetelefon.de/

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