近頃、ドイツ国内外でCMやキャンペーン広告についての批判や炎上騒ぎが続いている気がする。
Hornbachの「日本人女性変態扱い」CMもアースの「外国人虫扱い」CMも無神経さや考えの足りなさ、想像力の欠如などが原因で、かなりお粗末な完成度になってしまっているが、それを連邦レベルでやってしまうのがドイツ。
まあ、これもこじつけではあるにせよ、防衛省自衛隊滋賀地方協力本部が制作した自衛官募集ポスターのような例もあるので、「どっちもどっち」だと言えなくもない。
今回の炎上騒ぎの火付け役は、連邦交通・デジタルインフラ省(BMVI)のアンドレアス・ショイアー(Andreas Scheuer)相。同省から交通安全に関する新たなキャンペーンについてのプレスリリースが出たのが3月22日のことだ。
その動画がこちら。
ショイアーがこの動画の中で「今回のスローガンはお役所言葉ではないかもしれないが、」とあらかじめ断っているように、Looks like shit. But saves my life. と若者を意識したとみられる英語での言い回し。ドイツ語で訳すと、Sieht scheiße aus. Aber rettet mein Leben.「クールじゃないけど、命拾いするよ。」くらいのニュアンスになるだろうか。
ところが、このキャンペーン動画やポスター広告に人気のテレビ番組”Germany’s Next Topmodel” (GNTM)のモデルを起用し、下着姿のポスターを制作したことから女性議員を中心に「性差別だ」と炎上中らしいのだ。
こちらが3月23日にアップされたWELTのメイキング・オブ映像を交えたニュース動画だ。
そして、その1週間後に出たHEUTE SHOWの痛烈なパロディ。
連邦交通省のアンドレアス・ショイアー(Andreas Scheuer)相の名前をもじり、”Ist das richtig so, oder beScheuert?”「これは正しいですか、それとも最低?」と言う人がいたり、交通と性交をかけて”Verkehrs-Minister”「セックス大臣」呼ばわりしたりと世間では辛辣な批判がSNSなどで飛び交っているのだとか。
ショイアーいわく、「若い世代の興味を引くために効果のある方法を採用した。」そうだが、女性議員などから「ヘルメットの話をするのに、モデルが下着姿になる必要がどこにある。」「税金を使ってまで作るような広告か。」などと大反発を受けている。
ターゲット層(17歳から30歳)には人気モデルや有名なフォトグラファーを採用していることもあり、評判がいいかもしれないが、それ以外の層から恐らくは予想範囲内の反発が出ている、といったところなのではないか。
「見た目が悪い。」「ヘアースタイルが乱れる。」といった外見上の理由でヘルメットを着用しない若者が多いらしい。そして、それを覆すための今回のキャンペーン。「見た目はクールじゃないけど、命拾いするのだからヘルメットを着用しよう。」言いたいことはヘルメットの着用、これだけ。
個人的にはヘルメットを被らない人が多いのは、ただ面倒でかさばるという理由なのではないか、と思っているのであまり説得力がない。
ただ、今回の件も政府機関レベルとして打ち出すキャンペーンとしては、もう少し慎重になった方が賢明だったのかもしれないなぁ、と思った次第。
モデル起用はいいとしても、別に下着姿になる必要はなかったのでは。ヘルメットの存在が強調されるという効果は別として。
思わず手にとって、被りたくなる便利でスマートなヘルメットの開発も需要がありそう。
皆さんはどう考えますか?