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“Schule findet in Thüringen zurzeit nicht statt” / チューリンゲンの小学校では授業がありません

先日の投稿では気候保護を求める若年層による金曜日デモについて書いたが、学校の授業を欠席してデモへ行くどころかそもそも授業自体が行われていない、という発言をした政治家がいる。

チューリンゲンではもうすぐ州選挙が行われるが、自由民主党(FDP)の第一候補者であるトーマス・ケメリッヒ(Thomas Kemmerich)は「現在、チューリンゲンでは学校の授業がない状態だ。」と発言したのである。

彼は2017年から連邦議員を務める54歳で6人の子供の父親だ。

「私には6人の子供がいる。若い世代にとってこれがどれほど罪深いことか理解している。」

学校は将来的に独自で予算を管理する必要がある、とケメリッヒ。現場で教師と保護者からなる学校組織が本当に必要なものは何かとより良い決定が下せるから、というのがその理由だ。

授業の休講を避けるために、すでに年金生活に入った元教師や転職希望者を積極的に採用してはどうか、とも提案する。

「最重要事項は学校で授業が行われることだ。」

ベルリンの教師不足とは少し事情が異なるようで、特にチューリンゲン州の田舎で教師の数が不足しているようだ。隣接するバイエルン州やヘッセン州の方が教員の待遇が良いのがその一因ではないかと言われている。

旧東ドイツ国民から言わせてみれば、「東ドイツの教育なんて最悪だ、なんて偉そうに言っておきながら学校の授業すらきちんと行えていないじゃないか!DDRの方が良かった。」ということにもなり、またAFDに票が流れてしまうかもしれない。

日本の小学校で子供たちに体験入学をさせるたびに、「日本の小学校教育は素晴らしい!」と思っていたのだがここでふと「日本では教師不足は起こっていないのだろうか。」という疑問がよぎった。

検索してみると、「今、全国の公立の小中学校で『先生が足りない』という異常事態が起きています。」という内容でNHKが教員不足について2017年に取材をしていた。

日本では今後、少子化がさらに進むと教員の定数が削減されるため、教育委員会は、正規教員の採用を抑えて、非正規雇用の臨採の枠を広げているのだそうだ。

日本の場合は、臨採の枠を広げても希望者が少ないのが教師不足に繋がっているようだ。それでも、教員免許の取得者数は過去5年間でみると、ほぼ横ばいなのだとか。

ドイツのように慢性的な教員不足には陥っておらず、潜在的な教員の数は存在しており、臨時採用のなり手も一定数いることになる。問題は正規教員になれない不安定さなのだろう。

ベルリンの大学では何年間も小学校教員養成のための学科を確保していなかった。逆に何千もの進学希望者を退けていたらしい。そのため、当然のことながら初等教育分野で後継者が育っていないのである。壁崩壊後の大幅な出生率の低下が原因だという。

壁崩壊から今年でもう30年。将来を見据えた対策を早い段階で打ち出さなかった結果がこれである。

ドイツ、日本とも義務教育の現場で起こっている教員不足を何とか早めに解決してほしい。

参考記事:Süddeutsche Zeitung / Kemmerich: “Schule findet in Thüringen zurzeit nicht statt”
Der Tagesspiegel / So schlimm ist der Lehrermangel wirklich
NHKニュースおはよう日本 / 小中学校で「先生が足りない」理由

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