前回の投稿「ドイツの小学校で授業参観」ではおもにドイツ語の授業についてまとめたので、2時間目の算数についても印象を少しまとめておこう。
参観したクラスには障害を持つ生徒がひとりいる。その生徒には他の生徒とは別の教材が用意されており、この日は補助の先生もひとり入っていた。
全体授業のテーマは「100の表」だったが、その子供は1から9の数字カードで数字の練習をしているようだった。
ドイツ語とは異なり、まず先生が教室の前に設置されたプロジェクターで100の表の仕組みを説明し、それを応用した問題をみんなで解いて導入としていた。
ドイツ語とは異なり、算数は同じ課題を順番にそれぞれのスピードで解いていく、というやり方だった。公文式に似ていると感じた。
課題の小プリントは廊下の長椅子に順番に並べられており、子供達は1枚できると、また次の1枚を取りに行く。
ドイツ語力はやはり算数にも影響がある。当然のことだが、問題がドイツ語で書かれているためだ。ドイツ語ネイティブの子がすんなり理解できる内容でも、ノンネイティブの場合、読むことすら困難なケースが多い。
ここで、日本の授業中には滅多に聞かれないだろう先生と生徒のやりとりがあった。
「先生、なんて書いてあるかわかりません。」
「あなたはドイツ語のネイティブではないから、今はまだわからなくても大丈夫。ドイツ語のできる子にどういう意味か聞けばいいの。そのうちわかるようになるから。」
先生に後でそのやりとりについて尋ねると、生徒のレベルに大きな差があるため、すべての生徒に手を掛ける時間がない。だから、生徒間で協力し合えることはするように普段から言うようにしている、とのことだった。
そうやってできる子ができない子のサポートを自然にできるような雰囲気が生まれるのだろう。多様性の中で育つ子供たちにとって必要不可欠なスキルだと思う。
その他にも、足し算・引き算といった数式の計算ができても、それを日常生活の中での状況に応用した途端、わからなくなる子供が多い、と言った話も出た。
計算問題は得意でも、文章問題が不得意な子がいるのと同じことだろう。文章を読んで状況を想像し、理解する、となるとただ計算をしているより複雑な思考が必要とされる。
とにかく、ドイツの算数については、特に数に対する理解を深めるためのビジュアライズされた表が多用されている印象だ。
とてもシステマチックでドイツ的だと思う。単に暗記させるのではなく、まずとことん数の関係性を理解することに専念し、理解できたら暗記する方法のようだ。
馴染みのない表や計算方式に頭を傾げることも多いが、このやり方だと後で応用が利くようになるのかな?どちらにせよ興味深い。