大阪の人は造幣局、と聞けば桜の通り抜けを連想するくらい造幣局の春の桜は見事だ。
娘が工場見学に行ってみたい、というので滞在期間中に見学が可能だった造幣局へ行ってみることにした。
食品系の工場見学はかなり人気が高いようで直前の予約だと空きが全くなかったためだ。カップラーメンとかMeijiの工場見学など面白そうなものがたくさんある。
造幣局へは近所なのでよく考えずに足を運んだのだが、紙幣を作っているのは東京にある国立印刷局で大阪の本局では貨幣や記念コイン、勲章や褒賞を製造している。
紙幣と貨幣について深く考えて使っている人は少ないと思うが、紙幣は日本銀行券と印刷されているように発行先が日本銀行、貨幣の方は財務省の発注、要は政府によって発行されている。発行元が違うのだ。
見学案内の方の説明ではまずここで、お札が大量に工場で製造されている様子を期待して造幣局に来た人はがっかりするのだとか。
さて、見学の流れだが、造幣局の沿革や貨幣製造工程などをまとめたビデオを鑑賞した後に工場をガイドの方の説明付きで見学するというもの。博物館は最後に自由に見学が可能だ。所要時間は1時間半から2時間ほど。
大阪らしいなぁ、というか驚いたのは「はい、ではこれから蚊の非常に多いところを通って工場まで移動しますので、必要な方はこちらのスプレーをご使用ください。」という下りだった。
子供たちもきょとんとしていたが、見よう見まねでシューシューやっていた。
どんなところを歩かされるのかと思いきや、川沿いの桜の通り抜けとは反対方向に桜の木の立つ庭をほんの数分移動するだけであった。
案内係りの方曰く、「いつも蚊と戦っております。」とのこと。どこまでが冗談なのかよくわからない。工場にもあちらこちらに蚊除けのスプレーの缶が置かれていたので本気なのだろう。
そんな工場の入り口前にはふたつの古い機械が展示されていた。造幣局の創業期に使われたいたフランス製とドイツ製の圧印機である。当時の造幣技術は欧州の方が断然進んでいたためだ。
圧印機とは貨幣に縁を付けたり、模様を付けるプレス機のこと。
現在の圧印機もドイツ製シューラー社の機械が導入されていた。ガラス越しなのと人が映り込むため写真がないのが残念。
工場見学はタイミングが悪かったのかラインがほとんど稼働しておらず子供たちと一緒にがっかり。貨幣製造工場なので、金庫と同じため見学者はどちらにせよ細かな製造過程を実際に見ることはできないのだと思う。
圧印機が1台の生産量は500円硬貨の場合こうなる:
- 1台 272000枚 1億3600万円
- 1コンテナ 68000枚 3400万円
- 1分間 750枚 37万5000円
- 1秒間 12、5枚 6250円
製造過程が気になる方は貨幣の製造過程のリンクを貼っておくのでご参考までに。
結局、メインは工場見学よりも博物館の方になった。
博物館の展示内容はとても充実していて情報量も多かった。多すぎて途中で疲れてしまったほどだ。
造幣局の沿革、貨幣の歴史、製造に関する展示、記念硬貨のコレクションなどとにかくお金に関する情報がぎっしりと詰まった展示内容となっている。
上の写真左上にあるのは、明治4年(1871年)の創業当時、構内や付近の街路に立てられた65基あった 屋外照明用のガス燈のひとつ。その明るさは当時、ろうそくや行灯の灯りしか知らなかった 大阪の人々を驚かせた。
桜宮橋、またの名を「銀橋」と呼ばれる橋のふもとにある大阪の造幣局。機会があれば是非足を運んでみては。