2010年頃だろうか。近所の交差点周辺にホテルが次々とオープンした。
ホテルばかり建ててどうするんだ?と思いきや、それに伴ってツーリストもどっとやって来た。幸運なことに、我が家はメイン通りには面していないため、窓を閉め切る冬場はそれほど騒音なども気にならない。
しかし、暖かくなってくると、近所の公園には目に見えて放置されたゴミが増え、道端にも割れたビール瓶などが目立つようになる。
数年前からBSRが公園の掃除も担当するようになったおかげで、今はそれほどひどい状態にはなっていない。
とにかく、最近は地下鉄やSバーンに乗っても混んでいることが多く、ラッシュアワーには道路も以前より渋滞するようになった。もちろん、ベルリンに流入する人が増えたことも原因のひとつだ。
ミッテ区よりも観光客が流れているのが、クロイツベルクやフリードリヒシャイン区だ。レストランやクラブ、バーなどが密集するエリアには若い観光客が集まる。
英国、アメリカ、イタリア、スペイン、オランダなどから来る観光客が中でも多い。
ベルリンの観光客数だが、2018年には約1780万人が訪れている。延べ宿泊数は2018年には前年の3115万泊から3300万泊までに増加した。
一部のエリアでは騒音やゴミにうんざりした住民が観光客に対してノーを突きつけるようにさえなっている。
ホテルが増えた地区は、ミッテ、クロイツベルク、フリードリヒスハインと空港付近に当たるシューネフェルトだ。
ドイツホテル・飲食店業連盟(DEHOGA)の責任者レングフェルダーは「まだまだベルリンにはホテルの需要がある。メッセや国際会議、祝日にはホテルが満室になる。平均的な宿泊率は80%で、これはドイツ国内でもとても良い評価だ。」と主張する。
ホテルの増加を規制するといった、政治的な介入を牽制したいのだろう。
経済成長を取るか、住民の生活を守るのか。
確か、ベルリンだけではなく、ヴェネツィアやマヨルカ島などでも観光客の増加に伴い、住民の生活の質が低下する、といった問題に発展していたように思う。
Airbnb(エアビーアンドビー)やその他のあらゆるサービスによって、人々は以前よりも簡単で自由に移動できるようになった。この流れは今後さらに加速していくだろうし、この状況に街や住民がどのように折り合いをつけていくことができるのかが課題になってくるだろう。
今はおそらく過渡期なので、移動する生活というのが当たり前になれば、課題や問題はさらにに上のレベルにシフトしていくことだろう。
国と国の間の線引きなどもそのうち必要ではなくなるかもしれない。
参考記事:Berliner Zeitung: Das Torismus-Dilemma Wichtige Wirtschaftskraft oder Kiez-Zerstörer? ; zu viel Lärm, zu viele Hotels Kreuzberg hat keine Lust mehr auf Touristen