【都市開発】鉄道用地跡を公園に〜Park am Gleisdreieck〜
8月末だけれど、日に日に肌寒くなりつつあるベルリン。一足先に秋がやってきたかのような気候だ。そういえば、夏休みに子供たちとグローピウスバウで行われている「草間彌生回顧展」に行った日も風が強い日だった。帰りに以前から気になっていた公園にも寄ってみようということになったのだ。
それがタイトルにあるグライス・ドライエック公園(Park am Gleisdreieck)である。ドイツ語でグライスは「ホーム」、ドライエックは「三角形」という意味だ。日本語では「デルタ線」とか「三角線」と言い、三角形上に敷かれた線路のことを指す。
三角線として実際に利用されていたのは1912年までのことらしい。
1901年の写真では、左の線路がワルシャウワー通り(Warschauer Straße)方面行き、前方がポツダム広場(Potsdamer Platz)方面、後方がツォー駅(Bahnhof Zoo)方面となっている。中央にある建物は車庫。
ベルリン市のほぼ中央に位置するこの鉄道用地跡の空き地に、現在の公園ができたのは2013年のことだ。立地的にドイツ博物館に隣接しており、スケートボード場やビーチバレーボール、カフェ、キオスクやそれに併設された公衆トイレもある多目的公園として市民の憩いの場となっている。歩行者優先ではあるが、自転車道路も整備されている。公園内にはジョギングする人々の姿も見られる。
鉄道用地らしさを生かし、使われなくなった線路が一部残されたままになっている。線路の弾いてあった場所を利用したトラッキングコースも設置されていた。ここはまだ歩いていないので、本格的な冬が来る前に歩きに行きたい。
グライス・ドライエック公園は2013年にベルリン建築賞(Architekturpreis Berlin)を、2014年にはドイツ都市建築特別賞(Sonderpreis Deutscher Städtebau)、2015年にドイツ景観建築賞(Deutschen Landschaftsarchitektur-Preis )をそれぞれ受賞している。
グライス・ドライエック公園とフラッシェンハルス公園(Flaschenhalspark)を結んでいるヨロック橋(Yorckbrücke)もなかなか見応えのある歴史的産物だ。2020年7月にバリアフリーの4つの歩道・自転車道である橋(Yorckbrücken 10, 11, 14, 17) が修復工事を終え、ようやく開通した。
この橋のすぐ側に、地上を走るSバーンの駅とUバーン7番線の駅がある。普段、乗り換え駅としてはよく利用していたYorockstrasse駅だが、実際に橋の下を歩いたことがなかった。こんなにたくさんの古い橋が並んでいることに今まで気付かなかったのが不思議なくらい圧巻だった。この日も何らかの工事が行われていたようだ。
第二次世界大戦後、ベルリンの分断によりこれらの橋はその役割を失ってしまった。こんなところにも壁で分断されていたベルリンという街の歴史が刻まれているのである。
一連の橋の中でもヨロック橋15(Yorckbrücke 15)が一番古い橋として「記念橋」として残されている。
参照サイト:
https://gruen-berlin.de/projekte/parks/park-am-gleisdreieck/ueber-den-park
https://gruen-berlin.de/projekte/infrastruktur/sanierung-der-yorckbruecken/ueber-das-projekt
グライスドライエックの古い写真:scan from book: Susanne Hattig+Reiner Schipporeit, Großstadt-Durchbruch, Berlin 2002, p. 87(https://de.wikipedia.org/wiki/U-Bahnhof_Gleisdreieck)