ヴェルニゲローデ2日目。今日はハルツ狭軌鉄道に乗って、魔女の集まるブロッケンの山頂を目指すことに。このブロッケン山はゲーテのファウストにも登場するが、ヴァルプルギスの夜に魔女たちが集まり、お祭りをして春の到来を待つのだそうだ。ブロッケン山に残る雪を箒で振り払い、どんちゃん騒ぎをしたりするのだろうか。それも何だか微笑ましい。
そんなブロッケン山だが、なぜこんな言い伝えがあるのだろう。恐らく一年のうち300日は山頂が霧に覆われた神秘的な場所だということと、その霧の中で光が背後から差せば、ブロッケン現象(日本では御来光)といわれる自然現象が現れるということなどに起因するのだと思う。
上の絵画のタイトルを見て、ふと子供たちが好きなビビ・ブロックスベルクという魔女の女の子のお話を思い出した。Brocksberg(ブロックスベルク)というのは、Brocken(ブロッケン山)の通称で、「ブロッケン山のビビ」に当たる。魔法が使え、箒に乗って飛び回る魔女が主人公なのだが、この山に関係があることにいままで気が付かなかった。
旅の話に戻すと、ヴェルニゲローデの始発駅から山頂のブロッケンまでは約1時間半。デッキに出て外の景色を楽しむこともできる。途中のドライ・アネン・ホーネ(Drei Annen Hohne)で給水をするために15分ほど停車する。緩やかな山なので、山頂まで線路が敷けたのだろう。
6月末に登った時は濃い霧で視界が開けていなかったが、今回は少し開けていたので山頂の遊歩道をぐるりと一周してみることにした。今回は風も強く、かなり寒い。
歩くのを嫌がって担がれる弟を尻目にすたすたと歩く姉。一見、殺風景ともいえる景色だが、走り去る汽車が見えたり、珍しい植物があったりと発見は多い。
少し行くと、「悪魔の説教壇と魔女の祭壇」に出くわす。ゲーテのファウストの一説も紹介されていた。ざっくりとした内容はこんな感じか。
「魔女たちがブロックスベルクに集まる。切り株は黄色、芽は青い。そこに野蛮な一味が集まる、ウリアン様(悪魔)もその上に座っている!」
このウリアンという男(Herr Urian)だが、17世紀以降、まぬけとか悪魔といった意味で使われ、自分が会いたくない人のことを指してウリアンさん、と呼んでいたんだそうだ。
この山、何の変哲もないが、実は色々と発見の多い山だった。
魔女の集まるブロッケン山〜その2に続きます。