ヤシの木とハラ・コシュキ / Warzsawa-5

今回のワルシャワ旅行記。紹介したい場所が多すぎて、年が明けてもまだ「ワルシャワ」編が終わらない。まさかこんなに歩きやすくて盛りだくさんな街だとは思っていなかった。

今までその良さに気付いてあげられなくて本当にごめん、ワルシャワ。

泊まっていたアパートのすぐ側に大きなヤシの木が立っていた。なんだこれ、と思っただけだったが、旧市街のワルシャワ博物館のミュージアムショップでヤシの木のロゴが入ったコースターが売られていた。

あそこに立っているヤシの木?あれって何か特別な意味があるのかな??

そこでようやくヤシの木の存在に本格的な疑問が生まれた。グーグル先生によると、ヨアンナ・ライコフスカ(Joanna Rajkowska: 1968年ビドゴシチ、ポーランド生まれ)のアーティストによる作品、Greetings From Jerusalem Avenue だった。

この作品のインスピレーションは彼女が第二次インティファーダの時期にイスラエルに行って得たものらしい。ヤシの木が立っているのも、イエルサレム大通りと新世界の交差する広場だ。従来はクリスマスツリーが立っていた場所にヤシの木をどーんと据えたわけだ。

現代アートセンターが彼女の作品を保持する決定を出し、修理なども何度か行っている。設置から15年以上も経った今ではワルシャワっ子にとってなくてはならないランドマークになっているのだそうだ。このヤシの木のしたで政治的な集会やデモなども行われるのだとか。

というわけで、粋な計らいをする現代アートセンターに行く前に世界各国の料理が楽しめるというマーケットホールに足を運んでみた。

コシコバ通りにあるハラ・コシュキ(Hala Koszyki)へ。

ハラ・コシュキはユリウス・ジェジャノフスキ(Juliusz Dzierżanowski)によるアール・ヌーヴォー様式建築。1906年から1908年にかけて建設され、「市民の台所」として知られていた。

現在の姿は当時の鉄骨や多色なレンガ作りのデザインを尊重しつつ、丁寧に修繕を重ねたものだ。ポーランドには腕のいい職人がたくさんいるに違いない。ワルシャワの歴史地区もそうだが、細部に至るまで愛情を込めて修繕されているのが建物を見ていると伝わってくる。そして何と言っても全体のバランスやセンスがとてもいい。

2階はオフィススペースになっている。

Kreperiaでポーランドのクレープ(Naleśniki / ナレシニキ)を頂く。スイーツ系にも惹かれたがランチタイムだったので、バターで炒めたエビにチリとガーリック味を効かせたCatalanを注文。美味しい〜!!ポーランド料理はドイツと比べて塩味も甘さも控えめで日本人好みの味付けだと思う。前回のポズナン滞在でもそう思ったが、今回のワルシャワ滞在でポーランド料理の美味しさを再確認した。

現在はホテルのMDM

道すがら気になる建物が。MDMはホテルとして利用されているということなので、また機会があれば宿泊してみたい。この建物は50年代にワルシャワの労働者階級が憧れたアパートだったのだそうだ。

the Centre for Contemporary Art, Ujazdowski Castle

ウヤドフスキ公園内にある現代アートセンターに到着。ヤシの木のアーティスト、ヨアンナさんの作品は展示されているんだろうか。

Cezary Poniatowski, Spokój (Calm), instalacja (installation) 2018

dźwięk (sound), Lubomir Grzelak
Dominika Olszowy, Waiting for the Rest, instalacja (installation), 2018
Darius Žiūra, Testy ekranowe (Screen Tests: three-part multimedia installation), 2018

Darius Žiūraはリトアニア人のアーティスト。別の展示スペースにカメラ一台が置いてあり、そこで希望する訪問者が座って15秒ほど撮影した動画を展示で流す、というコンセプト。もちろん友人とふたりでカメラの前に座ってきた。

今回の展示Waiting for Another Comingはワルシャワとヴィリニュスで同時に行われているアートプロジェクト。プログラムの詳細について興味のある方はリンクを読んでみて欲しい。

リトアニアにも随分長い間足を運んでいないので、また近いうちに再訪したい。中欧の歴史は複雑すぎてついていけないのだが、ポーランドとリトアニアについてもほとんど何も知らない。何気なく観に行った展示内容から、思いがけない気付きがあるのもアートのいいところだと思う。

もしかすると、自分の知らないことに気付くことができる、というのが自分にとっての旅の醍醐味なのかもしれない。

Joanna Raikowska, satisfaction garanteed


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