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Round not Square / ベルリン発の巻物書籍

あなたはペーパー派?それともデジタル派?

と聞かれれば、間違いなく「ペーパー派」と答える。

本を読む、という行為にパラパラとページをめくる、というアナログな動きを求めるタイプなのだ。

それに、収納スペースは取られてしまうが、静かに並んでいる本を見ているとそれだけでも心が落ち着く。

タイトルを眺めているだけでアイデアが浮かんでくる気さえする。

ベルリンで生活するようになってから、最近ではドイツの何やら良からぬ郵便事情によって仕方なくKindleも併用するようになった。

一時帰国の際には子供たちの本を優先的にまとめ買いして帰るようになった、というのもその理由だ。

そこで、小説は紙、主にビジネス書やらマンガなどをサクッと斜め読みするのはKindle、というように使い分けをしている。

それはそうと、先日、書店のレジ付近で見慣れない形状の本を見つけた。レジのお姉さん曰く、「坂の上に出版社があって、自転車で配達してくれたのよ。」ローカルなゆるい感じがこれまたいい。

それがこちら↓

筒状に巻かれた本。もはや巻物にしか見えない。

なるほど、デジタル化に対抗するために巻物ときたか。世の中、アイデア勝負。Round not Squareという出版社のネーミングにもセンスを感じる。

この小さなスタートアップ、Round not Square。フランス人のIOANがデザインやアイデア、数字を担当。ドイツ人のANTONIAは主にコミュニケーションやコンテンツの担当なのだそう。全てこのふたりの手によって作られている、というのも好感が持てる。

ファウストの表紙に使われているリネン

本の背表紙などに使われる少しハードな素材のBook Linenに印刷されており、巻きグセをつけてあるので慣れるまでは扱いにくいだろう。クルクルっと巻き取れるようにマグネットも仕込まれている。

気の利いたプレゼントになること間違いなし。

友人にもらったお気に入りの縦長フォーマットの塗り絵があるのだが、同じものが巻物バージョンでもあるようだ。

Sarah YoonsのTo The Moon。「世界一長い!」塗り絵なんだそうだ。こちらはパタパタと折りたたまれている現行バージョン↓

数年前から癒し効果がある、とかでこうした成人用の塗り絵シリーズというのも色々とバリエーション豊かに出版されていてなかなか楽しい。

この塗り絵のことも長らく忘れていたので、少し続きを塗ってみようかと思う。愛用の色鉛筆はかなり前に見つけて一目惚れした色辞典シリーズだ。

どうも昔からグラデーョンに弱いのである。価格がかなり下がっていて驚いた。今、2集と3集が家にあるが、こちらのシリーズは3集まで出ているので全部欲しい。

細かなイラストに自分の好きな色を試行錯誤しながら置いていく地道な作業には、確かにリラックス効果がありそうだ。

さて、巻物の話に戻そう。

新しい解釈の赤ずきんちゃんと銘打った作品「ヴィルマとオオカミ」。
絵本も横にスクロールしていくのが楽しい作品になっている。

Illustration by Luisa Stenzel

どちらかと言うと、この巻物シリーズ。読み物というよりも「巻物をスクロールするワクワク感」や「斬新なデザイン」に繋がっている印象だ。巻物用にストーリーを組み立てる楽しさもあるだろう。色々と遊べるフォーマットだ。

スピード感や他人からの受けばかりを求めがちなツイートやブログなんかもそのうち世間から飽きられ、メモや手紙、手書きの原稿用紙の価値が高まる時代がふたたび来るかもしれない。

そこまで逆行するのはさすがに無理だろうか。

ファストファッションやSNSの消費ばかりでは疲れてしまう。

ポスト「ファストファッション」、ポスト「SNS」に期待することにしよう。

Round not Square: https://round-not-square.com/en/


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