Holzmarkt / ベルリン最後のユートピア?

もう、かれこれ2年くらい前だろうか。Holzmarkt通り沿いのRadial Systemで知人のダンス公演があったので、JannowitzbrückeからOstbahnhofに向かって歩いていた。

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すると道沿いに木の掘っ建て小屋やベンチなどが雑多に置かれたスペースがあって、「まだこんな場所があるんだ。」などと思いながらぐるっと一周して、また改めて見に来ようと思いながら、そのまま長い間そんなことすら忘れていた。

そして、昨年の秋。仕事で高城剛さんの取材に同行した際に、「ホルツマルクトってご存知ですか?面白いから行ったほうがいいですよ。」という話しになり、その時はまさか高城さんの言う「面白い場所」、というのが2年前に足を踏み入れたやたらと木でできた手作り感満載だったあの場所のことだとは思いもしなかったのである。

それからまた時間が経ち、昨年の冬にようやく再訪したホルツマルクト(Holzmarkt)。まだ午後の早い時間だったせいもあり、人もまばらで店も開いておらず、唯一開いていたカフェで暖をとることにした。

・・・のだが、ここでも残念ながらまたいつもの違和感を肌で感じたのである。この違和感のせいで、実はブログに書くのも嫌になってしまっていた。

どうしてか。店内には英語のみが飛び交い、カウンター越しの男性の対応もどこかつっけんどんで話にならなかったのである。

本当に残念なことに、この「鼻持ちならない感じ」はベルリンに来たばかりの当初、90年代半ばには微塵もなかった空気なのだ。

元来、資本主義に対抗するはずのヒッピー文化がここにきてビオブームやエコビジネスなどの流れで商業化した結果、とでも言えばいいのだろうか。ヒップスター?つまらない。

残念ながら、正直全く好きになれなかった。そして、またホルツマルクトからは足が遠のいていた。表面的には昔のベルリンを彷彿とさせる手作り感はあるので、撮った写真を何枚かここに載せておこう。

前置きばかりが長くなってしまったが、タイトルにあるようにどうやらホルツマルクトの存続が危うくなっているのだとか。

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©EckwerkのHPより

その主な原因は2014年からホルツマルクト共同組合(Holzmarkt Genossenschaft)の掲げるリビングスペース及びワーキングスペースを融合したフューチャーハウスとも呼べるEckwerkのコンセプトが頓挫したことによる。

2017年5月1日にホルツマルクト村は華々しくオープンしたのだが、Eckwerkはその時既に困難に陥っていたようなのだ。

  • ホルツマルクト協同組合(Holzmarkt Genossenschaft / Eckwerk Entwicklungs GmbH)
  • スイス年金基金(Stiftung Abendrot)
  • Gewobag
  • クロイツベルク・フリードリヒスハイン地区市議(Bezirksstadtrat für Bauen)

とにかく、何が問題になっているのかというと、Eckwerkの共同プロジェクト構想(Gewobagが噛んでいる)へのゴーが意見対立や法律的な問題でなかなか出ないことに尽きる。それに業を煮やした年金基金がEckwerk建築予定地の借地契約を解消しようとしていること、ホルツマルクト組合が長引く裁判のため経済的に圧迫され、自己破産寸前だということなどらしい。

ベルリン市の打ち出したメディアシュプレー構想に真っ向から対決し、75年の借用権利を勝ち取ったわけだが、ここ数年のベルリンの土地の異常な値上がりやそのロケーションから資金難に陥り、海外からも注目されたユートピア構想が頓挫するという、まさに今現在のベルリンの現実を目の当たりにさせられる。

とはいえ、Eckwerkにスタートアップ企業を誘致し、アーティストとのコラボから云々という文脈からはもはやジェントリフィケーションの匂いしかしない。

しかし、1年も経たないうちにここまで注目されたプロジェクトがあっさりと頓挫してしまうベルリン。それも何だか悲しい現実でしかない。一等地にユートピアを生み出す構想はこのまま終わってしまうのだろうか。その行く末に注目したい。

参照記事:
https://www2.holzmarkt.com/
https://www.rbb24.de/panorama/beitrag/2018/05/holzmarkt-berlin-finanzen-schwierigkeiten-eckwerk.html
https://www.morgenpost.de/berlin/article212700287/Holzmarkt-in-Friedrichshain-Aerger-ums-Modellprojekt.html

余談になるが、夏日が続くベルリン。偏見を捨てて、夏のホルツマルクトも体験しておいた方が良さそうだ。

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