ドイツの郵便事情 〜Deutsche Post und Co.〜

ベルリンに住んでもうずいぶん経つが、実はまだ一度も日本からの郵便物がベルリンの自宅に届かなかった、という経験がない。あくまでも配送業者が原因で、ということだけれど。

税関に引っかかったことは数回で、こちらは両親がうっかり内容物の合計金額を高めに書いてしまったのが原因だ。5000円以内に抑えておけば、贈物で引っかかることはほぼないはずだ。

しかし、ここ数年で国内外の郵便事情が実感できるくらいのレベルで悪化しているのだ。

「日本から送ってもらった荷物がいつまで経っても届かない。」「フランクフルト空港まで届いたのに、日本へ送り返された。」「家にいたにもかかわらず不在通知がポストに投函されていた。」、といったクレームをしょっちゅう聞く。

例をあげるとキリがない。
90年代のロシアか!?と突っ込みたくなる体たらくさである。

90年代のロシアは国際郵便なんてもってのほか。モスクワの友人たちは、モスクワに行くたびに何かしらベルリンの知人へのプレゼントを私に託した。そして、逆もまた然り。ベルリンに住むロシア人たちはモスクワの友人への贈り物を私に託けるのである。もちろん手紙もその中には含まれていた。メールがまだ普及していなかった頃の話だ。手書きの書簡にまだロマンがあった時代。

そしてロマンもへったくれもない現在のドイツの郵便事情。

AmazonやZalandoなどの大手通販サービスのおかげで、オンラインショッピングの利用者はうなぎ登りに増えている。今後も増え続ける一方だろう。

アパートのゴミ捨て場もAmazonの梱包ですぐにいっぱいになる。何が悪いって、店舗に行っても在庫ストックがほぼないドイツ。それなら、オンラインで買うか、となるのもなんら不思議ではない。

配送業界の年間売り上げグラフ

郵便事業はそんなわけで売り上げが伸びる一方である。

どうやら、この急激な配送サービス利用者の増加に従業員の数が追いついていないらしい。物流業界ライバル間の熾烈な競争がコスト削減・時短などへのプレッシャーにつながり、肝心のサービスが低下してしまっている、というのが現状だろう。

ドイツ最大のDeuscthe Post(ドイツ郵便)の関連企業DHLGLS、DPD、 Hermes(TL上でバルコニーに小包を何度も投げ込む映像が話題に)などの配送会社。2018年のクリスマスシーズンには多い時で数日間にDHLが1100万個、その他3社が800万個の郵便物を配送しなければならなかったそうだ。

日本でも宅配業社による過剰なサービスとそれによる弊害などが伝えられているが、最低限のサービスを誇る(?)ドイツでさえ、郵便物が届くべきタイミングに届くべき場所に配達されていないようだ。

なぜか?

分かりやすい要因としては、下請け会社の労働環境の悪さが挙げられている。ドイツ郵便およびDHLでは2%ほどだが、GLS、DPD、Hermesが使う下請け業社ではそのほとんどがキツイ労働環境にあるという。ドイツ郵便/DHLでは残業代が出たり、代休が取れるが、その他の業社の従業員はそれを夢見ることしかできない。

それ以外の印象としては、ドイツ語がほとんどできない外国労働者が目立ってきていることだろうか。先日も自宅前で(あきらかに外国人の)配達人とやりとりがあった。

配達人:「この宛先の人たち知ってる?」(小包3つを指しながら)
私:「このふたりはわかるけど、この人は知らないなぁ。」
配達人:「呼び鈴にもないんだけど。」
私:「え、ここにありますよ。ほら。」(連名にはなってました)
配達人:「何度押しても、出ない!間違ってる!」
私:「留守でしょwww!?」
配達人:「そっかw ありがとう!」

いや、留守だから。焦ってテンパってたんだろう。なんだか可哀想になってしまった。不在の場合はご近所さんに預けるとか、近くのお店に預けるという方法があると教えてあげた。というか、こんな基本的なことは業者が雇う際にきちんと教育しなくちゃいけない。言葉がわからなくて、理解できなかったのかもしれないが。かなり疑問だ。

AIの導入や、持続性のある梱包材を開発・促進、従業員の労働環境を改善しつつ、数も増やすなど現状況に対処していかない限り、業界がパンクしてしまうのは時間の問題ではないかと思う。

できれば、この辺りをそれぞれの広報担当者に直接お伺いしてみたいものだ。クレームが多すぎて対応してもらえそうにもありませんが。。

かなり多くの方に読んでもらっているようなので、ドイツ郵便(Deutsche Post)のフォローをしておくと、我が家によく配達をしてくれている職員の方とは顔見知りで、近所で会えば必ず挨拶するようにしている。

このように、親切な職員の方とは仲良くなっておくことも大事なこと。年末やクリスマスシーズンにお礼として何かプレゼントする、というのもいいかもしれない。

参考記事:http://www.spiegel.de/wirtschaft/unternehmen/deutsche-post-hermes-und-dpd-zahl-der-beschwerden-fast-verdoppelt-a-1245174.html
http://www.spiegel.de/wirtschaft/unternehmen/pakete-in-der-weihnachtszeit-wie-sich-der-kollaps-noch-aufhalten-laesst-a-1243714.html



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