長女が夏休みに入ってすぐに、ふたりでデュッセルドルフに住む友人を訪ねてノルトライン=ヴェストファーレン州に向かった。
ベルリンからデュッセルドルフまで560キロほどだが、ICEを使うと4時間半強かかる。同じドイツ国内の西側に向かうより、チェコの首都であるプラハに行く方が近いのだから、ベルリンは東の辺境地にあるのだなぁ、などと思ってしまう。
動物園に行きたいと娘が言うので調べてみたら、デュッセルドルフには動物園がなかった。そこで、以前「世界最古のモノレール」というお題の撮影で足を運んだ、懸垂式モノレールで有名なヴッパータールにある動物園に行ってみることにした。
67年前にヴッパータールではある事件が起こった。
一頭のぞうが街のシンボルでもあるモノレールの壁を破ってヴッパー川に転落したのだ。
これは作り話しでも何でもなく、実際にあった話である。
1950年7月21日にサーカス団長のフランツ・アルトホフはサーカスの宣伝のために女の子のゾウ、トゥフィをモノレールに乗せた。アルトホフ団長は数日前に既にトゥフィをトラムに乗せたばかりだった。
モノレールにトゥフィが乗ると言うので、おそらくリポーターや記者、カメラマンなどが多数駆けつけたのだろう。すし詰め状態のワゴンでトゥフィはモノレールが出発して、2分も経たないうちに壁を突き破って10メートル下のヴッパー川に転落してしまう。
驚きのあまり、この様子をカメラに収められたものはいなかったということだが、モンタージュ写真が残っているので、それを拝借して載せておこうと思う。
幸運にもトゥフィは一命を取りとめ、アルトホフ団長の思惑通り、この話を聞いた人々が子象を一目見ようとサーカスに押し掛け、公演のチケットはあっという間に完売したんだそうだ。
ヴッパータール動物園にも可愛い子象がいた。園内は緑が多く、まるで大きな公園に来ているような気分にさせられる。
ペンギンの水槽も涼しげできれいだし、ベルリン動物園よりも人が少なくてとても気持ちの良い動物園だった。
帰り際に動物園のショップでトゥフィ関連のおみやげをゲット。ヴッパータール中央駅にはモノレール関連のグッズを扱うお店があるそうだが、そちらは残念ながら行けなかった。また機会があれば覗いてみたい。
次回はデュッセルドルフの美術館についてです。