K21 Düsseldorf / ノルトライン・ヴェストファーレン州立美術館

デュッセルドルフと聞いて、まず思い浮かべるものは何だろう。ドイツ在住者であれば「美味しいラーメン屋」かもしれないし、そうでなければ「日系企業の集まる裕福な街」かもしれない。

「アートの街」というイメージをデュッセルドルフに持つ人は少ないかもしれないが、この街はヨゼフ・ボイスや、ゲルハルト・リヒター、ナム・ジュン・パイクなど現代美術に興味のある人であれば驚くような面子の教授陣がいたことで知られる「クンストアカデミー」の所在地でもある。奈良美智さんもこのクンストアカデミーの卒業生だ

デュッセルドルフ在住の友人曰く、クンストアカデミーに憧れて日本からやって来る人が今でもかなりいるのだそうだ。

さて、これまた幾度か過去にロケで何度か訪れたこのとあるデュッセルドルフで、前々から気になっていた現代美術館がノルトライン・ヴェストファーレン州立美術館のK21だ。

K21は、20世紀末から21世紀にかけての作品を展示する現代美術館で、K20という20世紀の美術作品を展示する近代美術館と対になっている。この美術館は以前は州議会議事堂だった建物を改装して2002年にオープンした

「クモの巣のような面白いインスタレーションがあるよ。」という友人の勧めで体験型の展示に長女も連れて行くことにした。どうやらこの展示、余りの人気に展示が再開されることになったのだとか。

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Tomás Saraceno – in orbit

美術館の最上階にスチールワイヤで出来たインスタレーションがあった。一度に入れる人数は10人で12歳以上となっていた。「まだ7歳やで。」と長女。うーん、なるほど。担当者も長女を見るなり、「ちょっと小さいね〜。」と一言。

せっかくの機会なので、無理を承知で担当者に交渉してみる。「身軽だし高いところを怖がらないので。」余り大した理由になってもいないが、何かあった時は責任を取ります、という欄に署名をし、何とか体験させてもらうことができた。ドイツでは何でも言ってみた方がいい。

さて、専用の服とシューズに着替えて、いざネットへ。スマホでの撮影はもちろん禁止。上からスマホを落としてしまえば、階下をあるいている人が大怪我をしてしまうからだ。

写真では高さが伝わりにくいが、下から単に見ているのとは打って変わって余りの高さと足下のおぼつかなさに思わず腰がひける。実際に動いてみると、なぜ専用の服と靴が必要なのかはっきりとした。スチールワイヤが堅いのと、幅の広いしっかりとした靴でないと、ワイヤで作られたネットの穴に足が挟まってしまうからだ。

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なんと一人の男性はネットに降りる入り口付近で座り込んで動かなくなってしまった。5階の高さから地上まではっきり見える状態で歩く、という行為は余りにも非日常的で頭では大丈夫なはずだと理解していても、身体がそれにうまく馴染めない不思議な感覚に陥るからだ。

蜘蛛の巣の構造を研究して作られたという、このインスタレーション。他人の動きがワイヤの振動になって伝わってくるので、うっかり油断していると大きな揺れに足を取られてしまう。

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そんな中、思った通り7歳の娘はスタスタと公園の遊具で遊ぶ感覚で動き回っていた。いやはや。「責任を取る」というサインをした手前、娘に着いて行かざるを得ない私は覚悟を決めました。。

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別室ではSaracenoが研究のために使う蜘蛛の巣が展示されていた。

暗室にくっきり浮かび上がるように展示されている蜘蛛の巣はとても美しい。まさに自然界の美。

数年前からSaracenoはクモの巣の複雑な構造にインスピレーションを得て、世界中に3次元のハイブリッドタイプを構築した。それ以来、我々の想像を絶する世界に魅了され、ネットの構築技術や様々クモの社会的行動を研究し、それで得た知識を機能・美・ネットの強さなど、自らのアートワークに反映させるようになったのだという。

この体験型インスタレーションは是非とも体験してみて欲しい。やってみる価値アリです!

Zoo Wuppertal / ヴッパータール動物園

長女が夏休みに入ってすぐに、ふたりでデュッセルドルフに住む友人を訪ねてノルトライン=ヴェストファーレン州に向かった。

ベルリンからデュッセルドルフまで560キロほどだが、ICEを使うと4時間半強かかる。同じドイツ国内の西側に向かうより、チェコの首都であるプラハに行く方が近いのだから、ベルリンは東の辺境地にあるのだなぁ、などと思ってしまう。

動物園に行きたいと娘が言うので調べてみたら、デュッセルドルフには動物園がなかった。そこで、以前「世界最古のモノレール」というお題の撮影で足を運んだ、懸垂式モノレールで有名なヴッパータールにある動物園に行ってみることにした。

67年前にヴッパータールではある事件が起こった。
一頭のぞうが街のシンボルでもあるモノレールの壁を破ってヴッパー川に転落したのだ。

これは作り話しでも何でもなく、実際にあった話である。

1950年7月21日にサーカス団長のフランツ・アルトホフはサーカスの宣伝のために女の子のゾウ、トゥフィをモノレールに乗せた。アルトホフ団長は数日前に既にトゥフィをトラムに乗せたばかりだった。

モノレールにトゥフィが乗ると言うので、おそらくリポーターや記者、カメラマンなどが多数駆けつけたのだろう。すし詰め状態のワゴンでトゥフィはモノレールが出発して、2分も経たないうちに壁を突き破って10メートル下のヴッパー川に転落してしまう。

驚きのあまり、この様子をカメラに収められたものはいなかったということだが、モンタージュ写真が残っているので、それを拝借して載せておこうと思う。

©Ullstein

幸運にもトゥフィは一命を取りとめ、アルトホフ団長の思惑通り、この話を聞いた人々が子象を一目見ようとサーカスに押し掛け、公演のチケットはあっという間に完売したんだそうだ。

ヴッパータール動物園にも可愛い子象がいた。園内は緑が多く、まるで大きな公園に来ているような気分にさせられる。

ペンギンの水槽も涼しげできれいだし、ベルリン動物園よりも人が少なくてとても気持ちの良い動物園だった。

帰り際に動物園のショップでトゥフィ関連のおみやげをゲット。ヴッパータール中央駅にはモノレール関連のグッズを扱うお店があるそうだが、そちらは残念ながら行けなかった。また機会があれば覗いてみたい。

次回はデュッセルドルフの美術館についてです。