Jetzt wird es ernst 「事態は深刻に」
Der Lockdown steht vor der Tür 「ロックダウンは目前に」
今月中旬からメディアで世界的なコロナ感染者数の増加やドイツ国内の感染者数の急増により、上のようなタイトルが目につくようになってきた。
タイトルはセンセーショナルでパッと目を引くものでないと読者の関心をひかないので敢えてこういったタイトルになりがちである。
事態は深刻に?新型コロナウイルスのパンデミックが顕著になった今年3月以降、事態はすでに深刻ではなかったのだろうか。
夏の日差しと共に目に見えてドイツ市民の関心はコロナ対策よりも、休暇中の旅行先のことや、戸外でのパーティーのことに移ったように感じたのは確かだ。マスク着用率が下がり、道で人にすれ違う時も距離を置こうとする人がめっきり減ったのもこの頃だ。
太陽がドイツ市民からごっそりと理性を奪ってしまったかのように。
市民が油断した隙を狙ってかどうかは定かではないが、その流れを利用するかのように反コロナ対策デモが毎週末にマスクを着用することなしに何度も行われた。
あれだけ、専門家が声高に「人との接触を避けるように。避けられない場合はマスクを着用するように。」と訴えても無駄だった。
そんな様子を知るうちに、第二波は季節が変わる頃にやってくるだろうということは薄々感じていた。
それにしても、だ。隣国のフランスやチェコ、リトアニアやラトヴィアでの感染者数は歯止めが効かないようなペースで急増している。
ドイツでも全国規模でウイルス感染が広まっており、目に見えない感染者数、重症化する患者数、死亡者数が増加している。これによって第二波の到来が確認されたといえるだろう。
以下、10月16日付けのZeit Onlineの記事より引用しておく。
7334人の新規感染者がロバート・コッホ研究所により発表された。これは第一波が到来した今年3月よりも多い数字である。70以上に及ぶ地域で1週間以内に10万人当たり50人を超す新規感染者が出ている。近隣諸国でも感染者数および重症患者数が増加する一方だ。バイエルン州はチェコからICU治療室が必要な患者を受け入れる準備があることを表明。オランダでは一部の地域でロックダウンが施行された。
1週間経った現在、ドイツ国内で外出制限を施行されているのはバイエルン州のベルヒテス・ガーデン地域である。しかし、ここよりも数値の高い地域では施行されていないなど、ドイツ内でも足並みは揃っていない。これは決定が州ごとに委ねられているためであるが、有事の際には足並みを揃える必要があるような気が個人的にはしている。ドイツの政治的事情が複雑なため、恐らく実行するには時間が掛かってしまうのだろう。
引用した記事から1週間経った今、新規感染者数は1万1千人を超えている。毎日、感染者数の増加が止まらない状況が続いている。
各個人が意識して行動するより他ないと思うのだが、ドイツ市民にはまだ危機感がないのだろうか。
“Wir reden uns das Problem klein, haben Ausreden und jeder sucht sich ein Schlupfloch, statt dass wir alle an einem Strang ziehen.”
バイエルン州首相ゼーダーは「我々はこの問題を大したことがないと言い、口実ばかりで各自が(現実に目を背けるための)ほら穴を探している。全員でひとつの目標を目指すことをせずに。」と批判している。
先週、1週間ほど滞在したポーランドのヴロツワフではまだベルリンよりも数値が低いにも関わらず、外出する際にはマスク着用が義務付けられていたのが印象的だった。レストランやカフェでもテーブルとテーブルの間には十分なスペースが取られており、顧客の数も少なかったためとても安心感があった。そう、ベルリンよりも明らかに。店先でもどこへ行っても消毒液のポンプが設置されていたので、あれも義務付けられていたのかもしれない。有名なチェーン店では使い捨ての手袋まで設置されていた。
ベルリンの居住区はリスクエリアに当たるが、カフェには人々が隣り合わせで座っており、もちろんマスクもせずに普通に歓談している様子が伺える。道を歩いていてもマスクを着用している人の方が少数派だ。ヴロツワフから戻ってからはマスクを着用して外出する癖がついた。何だか違和感しかない。
今週末には午前中の早い時間帯にカフェで定期的に会う友人と久しぶりに会うことになっているが、店が空いていることを望むばかりだ。週末の早い時間なので恐らく大丈夫だろう。こういった友人とのひと時もこのまま事態が悪化すれば気軽に過ごせなくなる。
そう、まだ本格的な冬が到来していないこの段階で第二波らしき兆候が強くなっている欧州の状況。今後、もっと寒くなる季節に一体どうなるのか。今から気を引き締めて生活をするよりほか、これといった対策はなさそうだ。
今年の冬はいかに自宅で快適な時間を過ごせるか、というのが大切になってくるのだろう。今から、できるだけ冬眠の準備を始めておこうかと思っている。
参照記事:
Zeit Online: Jetzt wird es ernst
Coronavirus-Karte für Deutschland
Tagesspiegel: Der Lockdown steht vor der Tür
ZDF: Söder: Jeder sucht sich ein Schulpfloch