ある撮影で数日前までライプツィヒに滞在していたのだが、最終日に時間が出来たのでリサーチ中に見つけて気になっていた地区にシェアバイクを利用して足を運んでみることにした。
中央駅から南西に自転車で約20分ほど行ったところにPragwitz(プラークヴィッツ)という地区がある。ここはDDR(東独)時代には工業地帯が集中していた場所であるらしい。
自転車で走っていると、壁画や柵の色がカラフルなので何かと思いきや、畑らしき敷地が目に止まった。ここで作られた野菜を直販しているようだ。
そしてその真向かいにTapetenwerkのロゴが。まだ時間的に早かったので人もまばらだったが、敷地内ですれ違った男性に少し話を聞いてみた。
「この辺り一帯は工場地帯だったところで、壁崩壊後は目も当てられない状態だった。この建物も当時は屋根がなかったんだよ。25年前からエリア一帯にある建物を少しずつ修復して、やっと今の状態になったんだ。Spinnereiもそうだけれど、ここにはそういった工場跡地を利用したアートギャラリーや建築事務所、コワーキングスペース、アート協会、カフェ、などがたくさん集まっているんだ。入り口のカンティーネ(食堂)ではランチも食べられるから是非。」
Tapetenwerk(絨毯工場)やSpinnerei(紡績工場)といった名前は元工場がギャラリーや工房としてうまく活用されている証しでもある。それにしてもこのエリア、空気の流れ方といい、そこにいる人といい、何だかとても懐かしい感じがする。
その懐かしさ、一昔前のベルリンで覚えたようなワクワクする感じ。とにかくこのエリア一帯は歩いているだけで嬉しくなるのだから不思議だ。
そして工場や廃墟好きには堪らないエリア。以前のベルリンで普通に目にすることができた光景がライプツィヒにはまだここかしこに存在していた。
普段の日の11時過ぎだったせいか、人通りもまばらでとても静かな街角。ライプツィヒがこんなに伸び代のある街だとは思ってもみなかった。13時過ぎの列車でベルリンに戻る必要があったので、余りのんびりできないのが残念だったが、Spinnereiに到着。
いつも思うのだが、ドイツ人は本当に古い建物の再利用がうまい。
とても数時間では足りない規模の敷地面積。
インフォーメーションセンターでは紡績工場の歴史を振り返る小さな展示スペースも設けられていた。
それについては、また次回に。