ベルリンのカルト映画館 〜Kino International〜

旧東ベルリンのアレキサンダー広場から真っ直ぐにのびるカールマルクス大通りには、建築のアンサンブルが並んでいる。

そのアンサンブルに溶け込んで立っているのが、ベルリン映画祭の会場のひとつになっているKino Internationalである。

Kino International / LDA-Archiv

この映画館は独特の雰囲気があり、とても好きな空間だ。映画祭のチケット入手の際も、ポツダム広場のメイン会場の側にあるショッピングセンター内のチケットカウンターより空いており例年お世話になっている。

今年のベルリン映画祭は2月20日から3月1日と少し遅めの開催だが、もちろんKino Internationalでも上映が予定されている。まだここで映画を観たことがない人がいれば、是非一度足を運んでみてほしいと思う。

この映画館、一体何が特別なのか。

それは、DDR(旧東ドイツ)の戦後モダニズム建築の記念碑とも言える建築様式にある。1963年に開館され、東独時代1990年までプレミア上映館としての役割を担っている。Defaフィルムも数多く上映されてきた。

1990年以降はベルリン映画祭の会場として、毎年数多くの映画が上映されている。

Kino Internationalの隣にあるMokka-Milch-und-Eis-Barや向かえにあるCafé Moskauの建築群が一連のアンサンブルを成しているユニークな場所。映画館の真後ろにある建物も現在はミッテ区の市役所が入っているが、以前はBerolinaというホテルだったのだそうだ。

„Mokka-Milch-und-Eis-Bar“ 1964 / Bundesarchiv
Café Moskau / Bundesarchiv

カフェ・モスクワも一時はクラブスペースだったが、現在は何に使われているのだろう。調べてみると、会議やイベントスペースとして生まれ変わっていた。正直、これでは何の面白みもない。写真左にわずかに見えているスプートニックが台無しである。とはいえ、時代の流れは変えられない。

© Cafe Moskau GmbH 2020

今現在のモスクワもこれに似たり寄ったりで、ピカピカキラキラしたモダンで味気のない街並みになっているのかもしれない。

さて、これらの建造物はヨゼフ・カイザー(Josef Kaiser)とハインツ・アウスト(Heinz Aust)によって1959年から1965年にかけてカールマルクス大通りの第二アンサンブルとして設計されたものである。

当時、映画館の最上階では青少年クラブ・インターナショナルなるものが開かれていた。ここで東ベルリン出身のバンド、Feeling B、今では有名なRammsteinの前身バンドもコンサートを行っている。

60年代の雰囲気を醸し出す内装も魅力的なので、気になる方は是非ここで映画鑑賞されることをお勧めしたい。

© YORCK-KINO GMBH

参照サイト:
Kino International
CAFE MOSKAU
ウィキペディア
Berliner Woche: Kino International bekommt zum dritten Mal Fördergelder für die Sanierung



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