前回の続き。
ペーパードライバー克服、最初の一歩。初日は教習に行く前に「あー、もう嫌すぎる。うわー、もう1時間後か。」と時計ばかり見てカウントダウンしていたくらい精神的なプレッシャーがきつかった。
ブランクが長すぎたせいで何もできない気がしたからだ。ドイツというか欧州はまだまだマニュアル車が主流なので、教習所では基本的にマニュアル車を扱う。クラッチやらシフトレバーやらをガタガタ動かす必要があるのだ。
さすがにシェアリングカーなどは、ほとんどがAT車だが、レンタカーなどではAT車と事前に指定しておかないとマニュアル車が用意されていることが多いように思う。
相方の乗っている車もかれこれ20年前のVW Golfのマニュアル車。
時間になってしまったので、変な汗をかきながら早足で教習所へ向かう。出迎えてくれたのはアンドレという年配の男性教官だ。第一印象はとても穏やかで安心感がある。頼りになりそう。これほんと大事。
乗車する前にこれまでの運転歴(ほぼナシ)などを少し説明したところ、「6年前に免許を取ったのであれば少し走れば勘が戻るはず。心配しないで。」
「いえ、免許を取ったのは16年前ですw」
「あー、そんなに前なのか。じゃあまずは様子を見ようね。」
やっぱりそうなるよね。
初日はさすがに久しぶりすぎたので、まずは車を静かな通りまで移動してもらい、クラッチ、ブレーキ、アクセルの場所確認やらクラッチとシフトレバーのタイミングをまずは思い出すところからスタート。
不思議なことに、最後に走ったのはかなり前なのに少し走るとずいぶん思い出すことができた。心なしかギアチェンジやブレーキのかけ方が当時よりもマシになっていた。なぜなのか。助手席に乗っているだけでも何か得るものがあったのかもしれない。
単にここ10年来で車の性能が上がっただけなのかもしれないが、かなり運転しやすくなった気がした。
2回目の教習前も多少の緊張感はあったが、アンドレは敢えて交通量の多い道や左折をたくさん盛り込んできた。ハードルがバンッと高くなる。
2週目は月・火・木・金とそれぞれ1時間半ずつ運転し、あっという間に最終日に。アンドレもニコニコして「これで終わってしまったら、また同じことの繰り返しになるから、初めは少なくとも2日に1日のペースで乗るようにした方がいいよ。オートマはマニュアルより簡単なんだから大丈夫。」と言って送り出してくれた。
運転をしながら色々と話した中でも印象に残っているのは、アンドレが教習所の教官になったきっかけがベルリンの壁崩壊と東西ドイツ統一だったことだ。東独時代は工具職人だったが、壁の崩壊後に職を失い、転職を考えた際に今の職業に決めたのだそうだ。
「ほら、あの高層アパートの9階に住んでいたんだ。今ではなんてことないアパートだけれど、当時はとてもモダンだったんだよ。」
「この道のランプいいですよね。私はこういう東の街灯が好きなんです。」
「ここは古くて状態の悪い東の道路だね。」
アンドレとはこんな風に旧東ベルリンのあちらこちらを走った。
本当に短い間でしたがお世話になりました。来週はいよいよ、DriveNowデビューなるか!?
ベルリンの壁崩壊30周年記念日に。2019.11.09.