Altenheime in Mitte / 老人にはさようなら、スタートアップは大歓迎、のミッテ地区

郵便受けに投函される地区のフリーペーパー。目に止まったのは“Senioren raus, Start-ups rein”というタイトルだった。ベルリンのミッテ地区もいよいよ人間味が失われつつあるな、とがっくり。ジェントリフィケーションという言葉を多用したくもないのだが、最近のベルリンはまさに、そのオンパレード状態としか言いようがない。
問題になっているのはアレキサンダー広場とインヴァリーデン通りにあるSenioren-Domizilが1年以内に閉鎖され、テナントビルとして再スタートする、というニュースだ。平たくいうと、人気地区の一等地で老人ホームを経営するより、テナントビルとしてスタートアップなどにオフィスを提供する方が利益が格段に上がる、という単純明快な事実である。
こちらの老人ホームはBerthold Hecht氏による家族経営。彼によると、2019年の夏までに入居者に彼が所有する他の4つのホームにそれぞれ移ってもらい、現ホームが閉鎖した後はオフィスのみの使用になるということだ。このニュースがメディアに掲載されるやいなや、何件もの問い合わせがあったそうだ。というのも、どちらの物件も保護指定されている建築上重要な建物となっているからだ。
アレキサンダー広場付近の建物は東独時代にはベルリンの労働者のための病院(”Zentrale Poliklinik der Berliner Bauarbeiter“)だった。

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以前は「ベルリンの労働者のための病院」だった建物(Magazinstraße)/ Foto: Dirk Jericho)

一方、インヴァリーデン通りの建物は以前はバルティック・ホテルとして第二次世界大戦後から1990年まで労働組合のためのゲストハウスとして使用されていた。

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初期モダニズム建築:3階から5階まではひとつの窓につきひとつのバルコニーが備え付けられている / Foto: Dirk Jericho

Hecht氏は今年中に2020年以降のオフィステナントを決めたい意向だ。
この記事の冒頭に所有者の異なる老人ホームについても記述ががあるので、そちらについても検索してみる。
開発が進んだ2000年以降、観光客の激増したHackescher Markt。その中でも特に人の集まるHackescher Höfeの目の前に立つ老人ホーム”Residenz Vis à vis der Hackeschen Höfe”。2ヶ月ほど前にホームの下に入っていたスーパーのEdekaとドラッグストアのRosmannが撤退したのでおかしいな、と思っていたらビルの所有者が築20年ほどの建物を改装して、アパート、オフィス、店舗を兼ね備えたビルに建て替えることが決まったのだとか。

以前、目にした記事では2年間の猶予が与えられそうだ、となっていたのだが、なんと今月末まで(2018年6月)に245名の入居者がホームを明け渡さないといけなくなったらしい。
こちらの建物については特に保護指定などはされていない簡素な作りとなっているが、抜群のロケーションを利用して高級アパートや店舗、スタートアップ誘致などを目的に現在の建物を取り壊し建て直す計画だという。入居者のための2年間の猶予がどこに消えてしまったのかは全くの謎だが、残念なことにドイツには賃貸アパートの入居者を保護するような法律も特にないので、所有者の気が変われば退去せざるを得ないのが現状なのだろう。ひどい話である。
前回のホルツマルクト とは事情が異なるものの、ベルリンの今の現状がどこまで続き、ジェントリフィケーションが加速するのか全く予想も付かない。昔からベルリンに住む住民の生活が脅かされるレベルになっていることは疑う余地もない。
参考記事:
https://www.berliner-woche.de/mitte/c-wirtschaft/senioren-raus-start-ups-rein-zwei-weitere-altenheime-werden-geschlossen_a163337
https://www.morgenpost.de/berlin/article214106653/Investor-reisst-Altersheim-am-Hackeschen-Markt-ab.html

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