Haus der Statistik / 東ドイツの「統計の家」

アレキサンダー広場から北東すぐに窓ガラスもないボロボロの建物がずいぶん長い間放置されたままでいる。

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「統計の家」(Haus der Statistik )と呼ばれたその建物は1968年から1970年にかけて東ドイツ(DDR)の統計のための中央行政として建設された。そしてその最上階はシュタージ(国家保安省)によって使用されていたのである。

壁崩壊後は連邦省が一時的に入っていたが、2008年以降は空き家となっていた。数年前にBIM (Berliner Immobilienmanagement GmbH)が買い取り、その時点で芸術家のための家として再建させようという動きが強まっていた

2015年の春に難民キャンプにするというアイデアも出たが、却下されたのだとか。

ベルリンという街は本当に不思議で93年に初めて旅行で訪れた時にも思ったのだが、街のど真ん中に意味不明な残骸が残っていたり、がらーんと何もない空間が広がっていたりする。

最近ではさすがに余り見かけなくはなったが、アレキサンダー広場の目と鼻の先にこんなみずぼらしい状態の建物が何年も手付かずのまま放置されているのだから、大したものだ。

幸か不幸か、この建物がこのままの姿で放置されるのも2024年の5月まで(!)らしい。それまではホームレスの館としてまだその機能を維持し続けるのだろうか。

BIMによる今後のプロジェクト進行表は次のようになっている:

  • 今年の7月末までにプロジェクト進行の手続き
  • 11月中旬までファサードのコンペ
  • 2018年末までに仮プラン決定
  • 2020年4月末までに工事依頼の終結
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皆さんもご存知の通り、ベルリンの工事はスムーズに行程通り進む可能性の方が低いので、「統計の家」の修復工事が終わるのはまだまだ先のことだろうと思われる。

ただ、この建物は曰く付きの場所でもあるので、Zentrum für Geflüchtete – Soziales – Kunst – Kreative(難民・ソーシャル・アート・クリエイティブセンター)として生まれ変わることができれば、ベルリンの街にとって、最近の傾向でもある商業的なオフィスや億ションに姿を変えるより価値があるというものだ。

先日、息子のパスポート更新のために足を運んだミッテの市役所も今の場所は期限付きの借り物件だそうで、いずれは新しくなるこちらの建物に引っ越してくるらしい。

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計画では市役所その他の事務所関連は全体の20%のみが考えられており、その他は文化・社会的プロジェクトのためのスペースになる見込みだ。そのために建物の一部をアトリエなどのために根本的に作り直す作業も必要だという。

PCB(ポリ塩化ビフェニル)やアスベストの含まれる解体作業やその他修復作業には1億ユーロが見込まれている。

時間は掛かりそうだが、この建物の今後の行方には期待したい。

参考記事:Haus der Statistik DDR-Ruine am Alexanderplatz wird wiederbelebt https://www.berliner-zeitung.de/berlin/haus-der-statistik-ddr-ruine-am-alexanderplatz-wird-wiederbelebt-30032420#
http://www.haus-am-alex.de/about


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