壁で東西に分断されたベルリンには大学、オペラ座、美術館などがそれぞれふたつずつあり、壁崩壊後にひとつに統合されたり、そのまま継続して存在したり、といった例がたくさんある。プラネタリウムも同様に東西ベルリンにふたつの大きなプラネタリウムが存在した。
プラネタリウム・アム・ヴィルヘルム・フォースター天文台は1964年に開設された。ツァイス・グロースプラネタリウムは1980年代半ばに建設され、アルヒェンホルト天文台はトレプトウ公園内にある世界一長い望遠鏡があることで知られており、19世紀末に既に開設されている。
ベルリン郊外に車で行く際にいつも遠目で気になっていた妙な建物。それが旧東ベルリンのプレンツラウアーベルク地区にあるツァイス・グロースプラネタリウムだ。銀色の丸いドームが特徴的な建物だが、見るからに「東っぽい」(旧東独的/DDR的な)佇まいである。
この何やらミステリアスな建造物は、2年の年月を掛けて建物の改修工事及びツァイスの新技術が導入され、去年2016年の8月に最新式の設備を整えたプラネタリウムとしてオープンした。現在はベルリン・プラネタリウム財団によって上記の3つの施設が運営されている。
さて、このプラネタリウムを建設したのが、旧東ドイツのエルハルト・ギースケ(Erhardt Gißke)というDDRの建築家及び建築監督である。彼の指揮によって旧東ベルリンにはいくつかの意義ある建築物が生まれている。共和国宮殿(Palast der Republik)や最近改修工事が行われたシャリテ・クリニック(Bettenhochhaus der Charité)、ヴェスティン・グランド・ホテル(以前はインターホテル・グランドホテル・ベルリン)などがそれに当たる。
それはそうと、子供達の誕生日会がきっかけでツァイス・グロース・プラネタリウムのことを知ったのだが、様々な年齢対象の充実したプログラムがあり、大人でも十分楽しめる内容となっている。2017年の夏からはカフェもオープンし、イベントスペースなどのレンタルも始まるそうなので期待したい。