前回の続きで、もうひとつ気になったのが「学校でのいじめ」に関するTagesspiegelの記事。
もちろん、ここに書かれたことが全てではないだろうが何に驚いたのかというと、ドイツの首都ベルリンでドイツ人であるがゆえにいじめの対象になるケースがある、ということだった。
タイトルには「ドイツ人の豚と侮辱する」とある。
Als „Schweinedeutscher“ beleidigt
Tagesspiegel: “Vom Krankenwagen aus der Schule abgeholt“
„Unser Sohn besucht die vierte Klasse einer Schule in Mitte und wird seit dem ersten Schuljahr gemobbt. Er wurde beschimpft, geschlagen und getreten, weil er Deutscher ist. Mitschüler bezeichnen ihn als ‚Schweinedeutscher‘, ‚Schweinechrist‘ und als ‚deutsche Kartoffel‘. Auf seiner Schule sind hauptsächlich Kinder mit Migrationshintergrund. Die meisten sind Muslime.
いじめの対象となった息子の母親がTagesspiegelの呼びかけに応え、自分の子供のケースを語ったものだ。
母親によると、息子はミッテ地区にある小学校の4年生。1年生の時からいじめはあったという。この男子生徒はドイツ人だという理由で、罵られ、殴られ、踏みつけられた。同級生は彼のことを「ドイツ人の豚」、「キリストの豚」、そして「ドイツのじゃがいも」と呼んだ。
この男子生徒の通う小学校の生徒はそのほとんどが移民背景を持つ子供達であり、その多くがムスリム(イスラム教徒)だということだ。
母親は息子が豚肉を食べるという理由で攻撃される、というのは我慢ならないと述べている。しかも、この家庭はベジタリアンなので肉は基本的に食べていないのだそうだ。
こんな記事を目にすると、同じミッテ地区に住み、もうすぐ小学生になる子供を持つ親としては背筋が寒くなる。記事に採り上げられたケースは氷山の一角でしかないだろうし、6歳かそこらの子供には余りにもつらい学校環境だ。
ただ、最近気になるのはこういった人種差別的なテーマを扱った記事にドイツ人→外国人ではなく、移民(中でもアラブ系)背景を持つ外国人→ドイツ人 / ユダヤ人といったケースが目立ってきている点である。
実際にそのようなケースが増えているのかもしれないが、記事の扱い方次第ではドイツ人の移民に対する考え方がよりネガティブな方向になりがちなのではないだろうか。
ドイツではAFD(ドイツのための選択肢)のような極右政党とも言われる右派ポピュリスト政党が移民問題についても強く反対している事などを受け、なし崩し的に公共の場での差別的発言などがまかり通るようになりつつあるのではないか。
それにしても、だ。余り自分の周囲では聞かない話とはいえ、このような学校環境、本当に何とかならないものか。
タイトル写真:DPA/PETER ENDIG
参照記事:“Vom Krankenwagen aus der Schule abgeholt“