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Berlin 1996 / 90年代のベルリン⑤

Captain繋がりで、当時活動を始めたばかりのHoney Suckle Companyとも接点ができた。

「今日、午後からマウワーパークでアルテの撮影があるから好きな服を持って遊びに来ない?」と声を掛けてもらい、よく分からないけれど面白そうだった(当時は常にこういう状態)ので語学学校が終わってから、あわてて撮影場所だと指定された壁公園内にあった建物というかバラック小屋へと向かった。

©Mariko Kitai

狭いスペースだったが、既に彼らの世界観が出来上がりつつあった。壁の棚には使い古されたぬいぐるみが並べられ、インスタレーションが壁を所狭しと覆っていた。どうやら、ここで各自が持ち寄った服で思い思いにスタイルを作り上げていく、というコンセプトらしい。

リーダー格だったペーターの独特でずば抜けたセンスには一目置いていた。見よう見まねでテープを貼ったりチューブをくわえてみたり、思いつくままその辺に散らばっていたパーツやアイテムを組み合わせて行く。カメラも気付いたら回っていた。

仕上げにペーターの手が入ると、メンバー全員がHoney Suckle カラーに染まってしまうのがスゴい。Captainもいつの間にかライブパフォーマンスを始め、脱皮の終わったメンバーは思い思いに身体を動かし、またいつものカオス状態が出現した。

1996 “Transformation Station”, Happening for Arte TV, St. Kildas Trips Drill, Berlin

そう、当時のベルリンはそれこそ、どこへ行ってもカオスだったのだ。道を歩いていても、地下鉄に乗って移動していても、見るもの聞くもの目にするもの、全てが混沌としていた。

そういう過渡期にあったベルリン独特の空気を彼らは痛い程感じ取って体内に取り込んで再現し、昇華させようとしていたのかもしれない。

後にモスクワとベルリンを頻繁に行き来するようになってから、彼らとの繋がりは途絶えてしまったが、Honey Suckle Companyとしての活動は2009年頃まで続いていたようだ。

先日、東独の写真家について投稿したが、たまたまその現代写真ギャラリーで彼らの活動を総括したカタログの出版を記念して個展が2016年に開かれていたことがわかった。幼稚園からすぐ側のギャラリーなのに展覧会に気付かなかったのは非常に残念だ。

photoexhibition
DAS BUCH
3.June – 30.July 2016
Galerie für Moderne Fotografie


以前、息子とミッテを散歩している時に偶然、洒落たブティックの前で休んでいたペーターにバッタリ会ったのだが、このブログを書くに当たり何となくFBで本人を探して友達申請をしてみた。

彼にも近いうちに会って色々話を聞いてみたいと思っている。

タイトル写真:©Honey Suckle Company

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