Lipscani / リプスカニ〜ブカレスト旧市街2

前回はブカレストの中心エリアにある旧市街の美しい書店についてご紹介した。

店内に一歩入ると真っ白な内装にため息がでるが、20世紀初頭に銀行家によって建てられ、1990年代から2000年にかけて崩れ落ち、5年ほどの修復作業を経て2015年にオープンしている。

書店の正面にある工事現場はまだ荒れ果てており、過渡期にあるブカレストを象徴している。

書店と同じ通りにこれまた修復された建物が目に入った。

中に入ってみると、警備員がルーマニア語で何やら話しかけてきた。怒られるのかと思いきや、隣の入り口から上に上がれば展示が見られるという(ルーマニア語なので予想)。

改築の歴史を地上階で展示

ブカレストはとにかく人が親切で、みんな言葉が通じなくても最後まで一生懸命教えてくれる。別の入り口まで連れてきてくれ、「Sus!Sus!」(上、上!)と階段の上を指して教えてくれた。「Sus!OK,sus!」と言いながら二階へ向かう。

この警備員のおじさんの誠意で、とてもいい展示に出会えた。

Ana Bănicăというアーティストのイラストや絵画、オブジェの展示である。彼女のブログページにあった言葉を引用しておこう。

Declaration:  To be an artist in Romania is beautifully complicated, painful otherwise and it must be naturally uninterested. As a Romanian artist, one has a great advantage: one can never get bored, because one never lacks inspiration. Only very rarely does one glow or feel the taste of success. Art is an embryo in Romania, there is still long before the development of the fetus and the child that will be born will have an extended adolescence and childhood. Thus Romanian art, following tradition, will need various steps, strength and quality, true parents and, not last, a miracle, until the point when it will achieve an otherwise natural maturity. To be an artist here is complicated because one lives in a transit society, an unstable society where the artist has no statute, nothing supports him, nothing encourages him, nothing motivates him, except for his ambition and his inner structure as an artist. When one is an artist in Romania one is alone on the road.

Ana Bănică

彼女の言葉を額面どおりに受け取るならば、ルーマニアでアーティストとして創作活動を行うのはまだ相当な覚悟がいるようだ。

ARCUBの入っている建物は元ユースホステルだったGabroveni Innを修復して2010年頃からスタートしている。残念ながら、ホームページがルーマニア語のみなので詳しいことがわからないが、シアター、展示、コンサート、イベントなど多彩なプログラムが提供されている。

ARCUBのあるリプスカに通りはライプツィヒのドイツ商人にちなんで命名された(Lipscaはルーマニア語でライプツィヒ)のだとか。ARCUBの南側に面した通りGabroveniはガブロヴォのブルガリア商人を指している。

リプスカニ地区にはこうした商人や職人にちなんだネーミングの通りが現在でも残っているのだそうだ。

今回は時間がなかったので主に東側をメインに歩いたが、今度は古い建物が残っている西側も歩いてみたいと思っている。

次回は議事堂宮殿についてです。



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