フェイクニュースと第四権力〜 CORRECTIV〜
ツイッター上でオンラインメディア向けのとある記事についての批判を目にした。記事内にいくつか明らかな間違いがあるというものだ。
人の手で書かれた記事なので、時折誤りが見られるのは仕方のないことだろう。しかし、ドイツが連邦制だという基本知識が欠けていたり、ちょっとした確認作業を怠らなければ起こらないような単純な時系列の誤りなどについては話が別である。
個人のブログではないのだから、もう少しきちんと仕事をして欲しいと思ってしまう。メディア関連の仕事をしている者として、このブログを書く際にも最低限のリサーチはしているつもりだ。
テレビ番組の制作過程でも残念ながらよくあることだ。外国人の氏名や地名などをカタカナ表記する際の表記方法を訂正して伝えたにも関わらず、間違ったテロップ表記のまま放送されたり、といった細かなミスだ。
自分がコーディネーターとして関わった番組制作で、そこまでひどい誤情報が流れたことがないのがせめてもの救いだろう。そういえば、制作担当ディレクターが現地コーディネーターにやらせを強要する、といったニュースも見かけたような気がする。やれやれ。こちらについてはノーコメントで。
既存の大手メディア媒体ではさすがにそれほど見かけないように思うが、その他の数多く存在するオンラインメディアでは「よくこんな内容の記事が平気で掲載されるものだな。」といったお粗末なレベルの内容の記事を見かけることが増えてきたように思う。
海外発の記事に多いパターンは、事情を少しでも知っている現地在住の人が読めばすぐにわかる誤情報が平気で放置されたまま公開されている、というもの。
予算が少ないため十分な取材ができなかったのだろうか?リサーチ期間が短すぎるのだろうか?上がってきた記事がそのまま校正されずオンライン上で掲載されてしまうことが原因なのだろうか?
予算不足や人手不足を理由にして許される話でもない。
オンライン媒体は拡散のスピードも違えば、ある一定の層にはそこそこの影響力を持つだろうからだ。
そんなことを相方と話していると、ドイツではフェイクニュースに対抗するために発足したジャーナリスト集団があるらしい。
CORRECTIVというドイツ語圏で初の共益リサーチセンター(das gemeinnützige Recherchezentrum)である。社会のためのジャーナリズム、社会と共に作り上げるジャーナリズムを目指している。CORRECTIVは主に寄付や財団の会費などによって運営されている。
Wir schützen vor gezielten Falschmeldungen und setzen ein klares Zeichen gegen Extremismus. Unser Reporterteam deckt systematische Missstände, Korruption und unethisches Verhalten auf. So kehrt der Journalismus zu seinen Wurzeln zurück: Er wird zur Vierten Gewalt in der Gesellschaft.
CORRECTIVHPより
「私たちは意図的な誤報から守り、過激主義に対して明確な意思表示をします。私たちのレポートチームはシステム化された時弊や腐敗、そして倫理的ではない行動を暴きます。これらによってジャーナリズムをその根本に立ち返らせるのです。報道は社会の中で第四の権力になるのです。」
このスローガンの良し悪しはともかくとして、第五の権力とも呼ばれるSNSによって瞬時に拡散されるフェイクニュースなどに対し、既存のジャーナリズムとは異なるアプローチを試みているようだ。
トップリサーチというカテゴリー内にベルリンの学校における教員不足に関するまとめがあった。サイト内では小学校の名前をサーチエンジンにかけるとどの程度の教員不足が起こっているのかが一目でわかるようになっている。
リサーチサイトへのリンク:An welchen Schulen Lehrkräfte fehlen
子供たちの小学校では教員不足による授業への影響はない、との結果だったので胸を撫で下ろした。非常にわかりやすく役に立つ情報である。
最新記事からはコロナアプリ関連を挙げておきたい。
ちょうどコロナアプリについて、当ブログでもまとめようと思っているので、こちらの記事も参照したいと思っている。
情報を受け取る側としては、取捨選択ができるように日頃から意識してそれぞれの情報ソースに当たるように心掛ける必要があるだろう。
CORRECTIVについてはフェイクニュースなどに対するカウンターパワーだと理解しているが、まだ記事を読み込んだわけではないので各自でご判断願いたい。
*タイトル画像はCORRECTIVのトップページより拝借しています。