Good bye, Litfaßsäule! /ベルリンの広告塔よさようなら

数日前から気になっていたことがある。

近所の広告塔からポスターが突如姿を消し、ピンクや赤、ブルー一色に変わっていたからだ。

例えばこんな風に。

新たな広告手法かな?と特に調べもせず放置していたのだが、やはり気になったので試しにツイッターに上の写真を投稿してみた。

すると、フォロワーの方からすぐに広告塔に関する新聞記事のリンクが送られてきた。ツイッターって本当にすごい。(皆さま、いつも有益な情報をありがとうございます。)

さて、広告塔はなぜこのような姿になってしまったのか?

実はベルリンの広告塔、さかのぼると164年もの歴史がある。出版や印刷業を営んでいたベルリナー(ベルリンっ子)のエルンスト・リトファスがパリやブリュッセル、ロンドンをお手本にベルリンに導入したのが始まりなんだそうだ。

そんなわけで、広告塔はドイツ語でLitfaßsäule=リトファスの柱と呼ばれている。リトファスは1855年にベルリン、ミッテ区のミュンツ通りに最初の広告塔を設置。

Ernst Litfaß / 広告塔を導入したエルンスト・リトファス

ところが、今回の市の決定では、そんな街のシンボルとも言える2500ほどの広告塔を引っこ抜いてしまうというのだ。今年、2019年の6月30日までに全て撤去される予定で、すでに1日20本ペースで撤去が進められているのだとか。

ベルリン市とこれまで広告塔の権利を持っていたWall AGの間で行き違いがあったのか、これまで広告塔の権利を持っていたWall AGが2019年からシュトゥットガルトの別会社に権利を譲る形になってしまった。

そして、この新参会社が従来の伝統的な広告塔を撤去し、代わりに一回りほど大きく、ライトの灯るモダンな広告塔を立てようとしている。広告塔の数は2500から1000個までに減らされ、その分ベルリン市への請求額は減る見込みだという。

ピカピカした味気のない広告塔よりもベルリン発祥の伝統的な広告塔を維持する方が大切なのでは?これでは、最近至る所で見かける似通ったテイストのショッピングモールとさほど変わらない。

これで、今までは余り意識に上らなかった街角の自然な風景が、またひとつ消えてしまうことになる。ドイツ人は古いものを大切にするのではなかったか?

撤去される前の近所の広告塔を写真に収めに行くとしよう。

ミュンツ通りに立つ最初の広告塔
©Jörg Zägel

かろうじて、記念建造物として50の古い広告塔は残されるのだとか。

当時のベルリンっ子たちの間で人気のあったなぞなぞというのが、「ベルリンで誰が一番たくさん記念碑を建てられたと思う?」というもので、答えはもちろん街中に広告塔を立てたエルンスト・リトファス!なんだそうだ。

ミッテ区にあるリトファス広場にはピカピカの広告塔が設置されている
©Ansgar Koreng

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