自転車を吊り上げる〜Magnethunters〜
長時間外にいると凍えるくらい冷え込んだ日曜日。
友人との散歩がてら、ベルリンのいわゆる観光地というか絵になる場所を歩いて実景をカメラで拾った。
美術館島とシュプレー川、奥にはベルリン大聖堂が見える定番の場所。
それにしても寒い、寒すぎる。
冬の撮影はただでさえ寒さとの戦いだ。移動のための車があれば実景を取りながら移動中に少しでも暖が取れる。時間が許せば(ほとんどないパターンが多いが)カフェ休憩を挟みながら撮ってもいいだろう。
そのくらいその日のベルリンは底冷えする寒さだった。
そしてライト版とはいえ、ロックダウンでカフェもテイクアウトのみ。暖を取ろうにも行き場がないではないか。そんなことを考えながら寒々しいシュプレー川の流れをカメラ越しに眺めていた。
すると、後方にやはり三脚で撮影している人影が見えた。
こんな寒い日にこんなところで一体何を撮影しているのだろう。近づいてよく見ると、真っ黒になった自転車のようなものが5台くらい停まっているではないか。
え、まさか。
そう、そのまさかを彼らは行っていたのだ。川底から強力なマグネットを使って廃棄物を引き揚げていたのである。
「YouTubeにも動画上げてるから見てね。」
写真を撮らせてもらったメンバーのひとりはそう言った。
「僕たち、完全にボランティアでやっているんだ。ベルリン市からは一銭も援助を受けていないんだよね。」
世の中には色んなことをやっている人がいるものだ。日曜日の午前中だったので、週末だけこうしてメンバーが集まって活動しているのかもしれない。
TシャツのロゴをもとにYouTubeチャンネルにたどり着いた。
Magnethunters
3人のチームでベルリン市内やその周辺の河川の保護と清掃を楽しみながらやっているのだとか。マグネットを使った釣り(?)の方法も解説している。
この日の成果はこちら↓
・Eスクーターx2
・自転車x4
・サーフボード数枚
・ミサイル(あるいはただのガスボンベ)x1
・多くの拍手と会話
・武器x1
武器ってなに。ナイフか銃か。少し立ち話した時にはまだ自転車やスクーターくらいしかなかったので、その後でこれだけの成果物が上がったのかもしれない。
とにかく近所の公園もそうだが、池や川、湖などに不法投棄というか、レンタル自転車やスクーターの類を投げ入れる輩がなぜか多いのである。これはベルリンだけがそうなのか、恐らくドイツ全国の大都市で割と見られる現象なのではないかと思う。
ベルリンの街で彼らを見かけたら是非、声を掛けてみてください。