Nach-der-Tat / 学校でのいじめと対策

これまでに2回、ドイツ、中でもベルリンの小学校でのいじめ問題についてブログに取り上げた。

学校関係者も頭を悩ませる「いじめ問題」。
その対策はどうなっているのか、について少し考えてみたい。

Werner Bonhoffer Stiftung(ヴェルナー・ボンホッファー基金)という団体がベルリンのミッテ区にある。

ここでは2010年より、“Nach der Tat”(「いじめの後」)というプロジェクトが行われている。主な目的は学校内のいじめに対し、周囲がより良い対応ができるようにすること、となっている。いじめの目撃者や被害者の孤独感を取り除く必要性も述べられている。

このプロジェクトの枠内では、いじめに対してアクティブになれる様々な試みがなされている。

  • Mobbing-Test / いじめテスト:アンケートに答えることで、自分の通う学校がいじめに対して的確な対応ができているか評価することができる。
  • Hilfe-Brief / ヘルプレター:匿名の手紙をだすことで、学校責任者にいじめをやめるよう指示を出させることが可能になる。
  • Workshops / ワークショップ:無料のワークショップの参加者はいつ、誰がいじめに対して何らかの処置がくだせるのか、といった対応について学ぶことができる。
  • Wachsame Schule / 自警学校:専門家の助けを借りて、学校で独自の対応ができるよういじめの対策作りを行うことができる。

例えば、いじめの目撃者や被害者は匿名で「ヘルプレター」を基金宛に書くことができる。手紙を受け取った基金側が対象の学校に連絡を取り、いじめに気付いてもらうように働きかける。

連絡を受けた学校側は、いじめの問題に独自に向き合うか、そうでない場合は基金に協力を求めることもできる。

プロジェクト開始後、多くの体験談が学校、保護者、教師、生徒などから寄せられた。それにより、いじめを取り巻く問題に共通点が見つかったという。

  • 教師の多くは、どのタイミングで介入すればいいのかわからず手を焼いている。
  • 学校内部でいじめのケースが記録されていない。
  • いじめのケースが明るみにでた後の対応がみられない。

「自警学校」プログラムでは、こういった点を踏まえ、学校側が暴力やいじめに対する明確な態度を取ること、それにより生徒や保護者に対応可能だという意思表示を行うことが大切だ、としている。

基金の代表、ティル・バーテルトは「学校がいじめ問題の鍵を握っている。」と話す。

Werner Bonhoffer Stiftungは2002年にエルスベス・ボンホッファーが亡くなった息子のことを思い、経営者ヴェルナー・ボンホッファーの遺産によって設立された。


Werner Bonhoff Stiftung

Vorstand: Till Bartelt
Reinhardtstr. 37 I 10117 Berlin

Telefon: +49(0)30 258 00 88 55
Telefax: +49(0)30 258 00 88 50
E-Mail: info@werner-bonhoff-stiftung.de Facebook: facebook.com/w.bonhoff.stiftung


Schulmobbing 2 / 学校でのいじめ問題(2)

以前、いじめに関する新聞記事が気になったので、ベルリンの学校でのいじめについてこのブログで紹介したことがある。

Tagesspiegelの記事では特に「ドイツ人だ」という理由でいじめられるミッテ区の小学校に通う男子生徒についてとりあげられていた。ドイツなのに、「ドイツ人」だからいじめられる小学生が存在する、というのには驚かされた。

数週間前のいじめのニュース。今度はライニケンドルフ区のハウスオッター小学校(Hausotter-Grundschule)でのできことだ。

11歳の小学生が重傷で病院に運び込まれ、そこで亡くなったというのだ。その後、学校で受けたいじめが原因ではないかとメディアがとりあげ、公に問題になった。

両親がコメントを出すのを控えているため、真相は未だ明らかになっていないようだが、いじめが原因による自殺なのではないかという見方が一般的だ。
「11歳の少女の死」。このニュースにより、ベルリン中に衝撃が走った。

そこで、この件についてブログを書こうと”Hausotter-Grundschule mobbing”で検索したところ、同じ小学校でまた別のいじめが起こったことがわかり愕然とした。

7歳(小学校1年生)の女の子が同級生の女の子に「殺してやる、チビ、デブ。」と言われ、それ以来、学校に行くのがこわくなってしまったというのだ。彼女はすでに医者とスクールカウンセラーを訪れたという。

数週間前にひとりの生徒がいじめが原因で亡くなったばかりである。事件後には懇談会が開かれ、ベルリン市もスクールカウンセラーを派遣したはずである。

亡くなった女子生徒について考えたり、話をしたりする追悼ルームも学校内に設けられ、そこには彼女に宛てた手紙やぬいぐるみなどが置かれているという。

それでも、この学校ではいじめ問題が後を絶たない状況らしい。

なぜか?

2年前に新しく赴任してきた校長、ダニエラ・ヴァルターは20年ほど学校関連の職務に携わっているが、ハウスオッター小学校への赴任が決まった際に一筋縄ではいかないだろう、ということはわかっていたという。

この小学校のある地域は困難な環境で、隣接するレッテエリア(Lettekiez)は社会的ホットスポット(犯罪多発エリア)で貧困家庭も多い。そして生徒の多くが移民背景を持つ子供たちだ。

「しかし、ここには外からの援助を受けようとしない両親も存在するのです。彼らの子供が困難を抱えているのにもかかわらず。彼らは『助けは必要ありません。自分たちで解決します。』と言います。保護者に協力する意思がなければ、どうしようもありません。」

慢性的な教師の人手不足、移民問題、格差社会、デジタル化(SNSを介したコミュ)など複雑な要素が絡み合って起こってしまった事件なのかもしれない。

スクールカウンセリングを派遣しました、即問題解決、というような単純な話ではない。

ベルリンのこの事件を受けて、学校でのいじめに対する世間や行政の関心が高まっている。

11歳の少女の死が無駄にならないことを願う。

参考記事:Berliner Morgenpost: Hausotter-Grundschule: Gedenken an tote Mitschülerin
rbb 24: Die zwei Wahrheiten an der Hausotter-Grundschule

*タイトルおよび文中写真:©Paul Zinken / dpa