ベルリン〜ファッションウィークの裏側で

週末のベルリンは快晴だった。子供達が映画に行きたい、というので散歩がてら映画館まで歩いて行くことにした。
歩いていると広告塔のポスターに目が留った。ブルーの数字の2を背景に男性がひとり立っているというシンプルな一枚。「テロ攻撃を生き延びた。」とある。このコピーが気になったのでスマホで写真を撮っておいた。これがその写真である。

このポスターの人物は「モデル」ではなく、「難民」としてシリアから遥々ドイツまで自力でたどり着いた男性だ。
右下には「世界は見た目より多くのものから成り立っている。その背後にある物語:
MENSCHLICHKEIT.DEとある。
サイトに飛ぶと、キャンペーンのページにはこう記されている。
Epic Escapeは高価な „Destroyed Look“のアパレルブランドではありません。そして、モデル達はモデルではなく、難民です。彼らはシリアからの逃亡について心を揺さぶられるエピソードを抱えています。
これらの物語によって私たちはいつでも助けの手を差し伸べる準備ができるよう、難民の方々に対するさらなる理解、尊敬そして共感性を喚起するのです。ファッション界のイメージワードで人と人との間のスタイルをアピールしています。#menschlichkeit steht dir am besten(#人間性があなたには一番良く似合う)と。

Epic Escapeというのは架空のブランドであり、モデル達はシリア難民。非常にインパクトのあるキャンペーンをベルリンのファッション・ウィーク開催と同時に打ち出して来たのが、betterplace.orgというネットの募金組織とハンブルクのAgentur のFCBである。約一ヶ月前にクリスマス市を狙ったテロがあったばかりのベルリンで展開されることにも大きな意義があるように思えた。
6名の「モデル達」はユーズド・ルックの上着やパンツを身につけているが、彼らが実際に提供するものは逃亡と故郷の記憶だ。そして、それらは彼らが象徴的に着ている衣服のように破壊されている。
「世界は見た目より多くのものから成り立っている。その背後にある物語:MENSCHLICHKEIT.DE
というコピーだが、例えば上の写真の男性の背後にある2という数字。これは、Ferasというモデルになっている男性が実際にテロ現場に2度も巻き込まれ、命拾いをした回数である。その他のモデル達もそれぞれの経験に密接した数字を背後に背負っている。62という数字と共にこちらを見ているYaraという女性は大学で62分間もの間、爆撃に見舞われ生き延びた。5という数字をバックにしたNajdは経営経済学の学生だが、5人もの親族をシリア戦争で失っている。
このようにそれぞれの人物が実際に体験したエピソードの詳細がウェブサイト:MENSCHLICHKEIT.DEに記されている。各エピソードの最後には彼らが関わっている難民支援プロジェクトの募金サイトへのリンクが張られている。
その他にも、「人間性があなたに一番良く似合う。」というロゴ入りのトレーナーが購入できるページがあり、売上げの一部が自動的に難民支援プログラムに寄付される仕組みだ。

キャンペーンに関するその他のリンクもこちらに貼っておくので、気になる人はチェックしてみて欲しい。

 

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