Brautraub / 誘拐婚

「誘拐事件」というキーワードがまだ頭に残っているせいなのか、今朝ツイートを眺めていたらジョージアの山岳部においていまだに存在する誘拐婚の記事に関する投稿を見かけた。

ジョージアのトビリシがトレンドになっている、というのもTL上で話題になっていただけになんとも不思議な組み合わせだった。

ジョージアと誘拐。

リンクとして貼られていたのは2010年に書かれたニューズウィーク日本版のもの。

グルジア北西部に広がるスバネスティ地方のカフカス山脈に存在するある「伝統」についての記事だ。

ゼモ・スバネティ(Zemo Svaneti)は96年にその建造物群が世界遺産にも登録されている。トビリシからはマルシュルートカ(маршрутка)という旧ソ連圏諸国でよく見られる小型の乗り合いバスで12時間ほどの距離にあるらしい。

写真で見る限り、自然の豊かな美しい山岳地帯である。

だがカフカス山脈は古くから、スバネティの女性たちを外界から遮断し、その未来を閉ざす存在でもあった。好きでもない男に誘拐され、レイプされた揚げ句その相手と結婚する—-こんな恐ろしい「伝統」が現在まで続いている。誘拐される割合は女性の3人に1人に上る。

女性たちは家族の元から誘拐され、中世から残る石塔の中に隔離され、最終的に結婚させられる。

誘拐犯と結婚 それが私の生きる道 NEWSWEEK日本版より

誘拐された上、石塔の中に隔離され、最終的には結婚を強制される。一体、いつの時代の話なのだろうと首を傾げてしまいたくなるが、現在に至るまで続いている「伝統」だとされているというのだ。

誘拐された女性が隔離される石塔は、かつて侵略者の攻撃を防ぐ住居だった

Photographs by Stephane Remael

自分もかつては誘拐婚の犠牲になり、今では娘を持つ母親が「自分の娘が誘拐されるくらいなら死んだ方がましだ。」というコメントに何とも言えない気持ちにさせられた。

Ushguli community, Svaneti, Georgia Photo by Florian Pinel

続いては、グルジア(ジョージア)、誘拐婚というキーワードで検索してヒットした記事についての紹介である。

中央アジア、キルギスタンでも同様の誘拐婚というのが横行しているらしい。

実際に誘拐婚の犠牲になった女性たちの声を拾っている映像を見つけた。

「私の母は結婚のために誘拐されました。私の姉もそうです。ほとんど全ての親戚が誘拐されているのです。」とこのショートフィルムでキルギスの若い女性は告白する。彼女も16歳で誘拐され結婚を強要されている。「私は結婚について何も知りませんでした。彼を愛していなかったので、それは難しいことでした。与えるより他に選択肢はありませんでした。でも、私の心を与えることは決してありませんでした。」

キルギスでは10人中1人の女性が18歳未満で結婚している。国連人口基金(UNFRA)の調べによると、誘拐婚によって多くの子供の婚姻が起こっているということだ。

しかし、誘拐婚はキルギスでは違法である。2013年以降、婚姻の強要は7年までの禁固刑の対象となっている。それにもかかわらず、実際には誘拐婚に携わるものが罪を追求されることは稀なのだという。

キルギスでは誘拐婚について認知を広げるために、ドキュメント映画プロジェクトが進行中だ。声を上げなければ希望はない、誘拐婚をいずれ過去のものにしたい、という思いでこのプロジェクトは進められている。

参照記事:ニューズウィーク日本版 / 誘拐犯と結婚 それが私の生きる道
Girls not brides / The child brides of Kyrgyzstan: kidnapped and forced to marry



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