ベルリン映画祭「ガレージの住民」 〜Garagenvolk〜
第70回ベルリン国際映画祭。1本目はポーランドのアニメーションを観たが、2本目はウクライナ出身の女性監督による初の長編ドキュメンタリーを鑑賞した。
この映画を知るきっかけになったのは、1本目の映画を観に行った際に会場となっていたKino International前の一枚のポスターである。
タイトルと写真に興味を惹かれた。ГАРАЖАНЕ, GARAGENVOLKというタイトルと左右に並ぶガレージ。そして深い一面の雪。
Der russische Norden. Eine unwirtliche Gegend, in der der Winter niemals zu enden scheint und der schwarze Ruß der Industrie sich über den frischen Schnee legt. Hier, am Rande einer Stadt, in der ein Bergbaukonzern der einzige Arbeitgeber ist, erstrecken sie sich ins Unendliche:
Garagenvolk ベルリン映画祭HPより
ロシアの北の方。冬が永遠に続きそうな、そして真っ白な雪の上に黒い工場廃棄物が横たわる生産性の低い地域。ここ、炭鉱業者が唯一の雇用主である町の端には無限大へと続いている。
家から15分ほどの映画館で正午から観られることがわかり、急遽オンラインチケットを購入して先ほど観てきた。
結論から言うと「観に行ってよかった。」の一言に尽きる。
モスクワでよく目にしていた既視感のあるガレージ風景。モスクワと異なるのは周囲に広大な自然が広がっているところだ。
車の代わりにガレージに住んでいる住民たちの日常を追うドキュメンタリーなのだが、一人一人に強い個性があり彼らの何気ないやり取りを聞いているだけでも笑みが浮かんでしまう。
ガレージという限られた狭いはずの空間がバンドの練習スタジオやフィットネスジム、イコン工房、鳥飼育小屋など様々な用途に使われているのも面白い。
ロシア人の手にかかると狭い空間も4階建ガレージに早変わり。ここまで来るともう何がなんだかわけがわからない。
「それは一体何のため?」というロシア特有の魔化不思議な世界が繰り広げられているところが個人的にはツボにはまった。
毎日を生きるために高尚な意味などいらない、恐らくはそういうことなのだろう。
決してスポットを浴びることのないガレージ住民たちの生活。このドキュメンタリーはそんな人々のガレージでの暮らしを追っている秀作だと思う。
Stab
Regie, Buch | Natalija Yefimkina |
Kamera | Axel Schneppat |
Montage | Nicole Fischer, Lucia Gerhardt, Markus Schmidt, Barbara Toennieshen |
Sound Design | Sebastian Reuter, Paul Wilke |
Ton | Alexey Antonov, Ivan Arapov |
Production Manager | Jan Philip Lange |
Produzent*innen | Andrea Schütte, Dirk Decker |