Japanische Ergänzungsschule / 日本語補習校
ベルリンで子供たちが小さな頃からお世話になっている日本語補習校。
先日、小学校4年生を担任するベテランの先生による懇談会が行われた。
日本で教員歴が30年ほどという先生。気さくで本当に素敵なお人柄。長女も大好きな先生である。
1時間弱という短い時間で「なるほど!」という気付きの多いお話が聞けたので備忘録としてまとめてみようと思う。
4年生は週に1度、15時半から18時半頃まで途中に休憩を入れて国語の授業が行われている。現在は11月に行われる劇の発表会に向けて1時間目に「劇学習」の時間が設けられている。
劇が終われば、漢字検定試験の対策授業として「漢検」の授業、漢検を受けない子供たちのために「文字学習」の授業などが行われる。
ベルリンの現地校によっては1時間目の授業に間に合わない生徒もいるため、1時間目は教科書を使わない授業が設定されているようだ。
さて、4年生の授業だが、以下のような流れで行われている。
10分 漢字テスト(読みおよび書き)→漢字に強い子はそのままテストを行うが、漢字が苦手な子供については見本を見ながらこの時間内に集中して視写を行い漢字学習をさせる。
漢字や視写については、この子にしてはきれいに書けている、もっとキレイに書けるはず、というように個人内評価で丸を付けている。「見ているよ。」というアピール。
50分〜60分 教科書を使用した読解など
30分 作文指導
10分 新出漢字 →時間が限られているのでポイントになる漢字を集中して学習する。
日本語の学習は「読む、書く、聞く、話す、コミュニケーション」力を養うことを目指している。
4年生の日本語学習で問題になるのは、音読み熟語が増えることだという。
「聞いてね。」というと聞けるが、「質問してね。」と言うとわからない子が出てくる。「プリントを先生に渡してね。」だとわかるが、「提出してね。」となると理解できない。
理解できない言葉が増えるに従い、モチベーションが下がってくるのだ。
花が一本なのか一輪なのか。周辺、周り、辺りなど類似するが微妙なニュアンスの違いを理解できているか。
4年生、5年生の山場はさらに政治や経済などの概念が出てくること。これらの概念はドイツ語でもはっきりとは分かっていないし、それを漢字で理解するとなるとさらにハードルが上がることになる。
これは娘の音読の様子を見ていて既に感じていたことでもあるが、物語だと比較的すらすら読めているのに、説明文になった途端、読めない漢字が続出し、すらすらと読めなくなる。
これは、物語は訓読みの世界で説明文はどちらかというと音読みの世界だということに起因している。文中に使用されている熟語の差であり、語彙不足から来る理解不足ということに繋がるのだろう。
語彙を補うにはどうすればよいのだろう。
・宿題に入っている「多読教材」を行うこと。とにかく漫画でも本でもいいのでどんどん読ませること。
・単文作り。文にする力をつけること。ひとりでスラスラ書ける子もいれば、こちらが作ってあげて読み上げたことを写す(聴写)子もいる。その子にあったレベルで指導に当たる。主語と述語をきちんと書かせることが大切。
・音読というのは最重要課題。きちんと聞こうとすると親も疲れてしまうので、気持ち半分くらいで聞くのが良い。
語彙感覚を養うこともとても重要だ。
自分の前へ
に
を
たった一文字だけでニュアンスが大きく変わる。
あの有名な先生、といったときの「あの」に含まれる意味は??
日本語ネイティブの自分にとっては普通の言い回しひとつとっても、奥が深いことに気付かされる。
我が家の子供たちはドイツ語と日本語で育っているが、日本語に関してはドイツに住みながら家庭での母親とのやり取りや補習校の授業でのみ使用される言語ということになる。
日本で日本語を自然と身に付けた自分では気付けない難しさがドイツで育つ子供たちにはあって当然だということを忘れてはならない。
日本語学習の楽しさや言葉の持つ深みなどを子供たちの日本語学習をサポートすることで改めて感じられることに感謝したい。
仕事との兼ね合いで補習校の宿題がかなり適当になってしまうこともあるが、やはり日本語補習校の存在はとても大きな助けになっている。
これから子供たちが成長していく上で、メンタル面での変化やバイリンガルならではの悩みなども出てくるだろう。そんな時に同じような境遇に置かれている友達に学校に行けば会える、ということも日本語学習をする上で励みになるはずだからだ。
まだまだ先は長いが、できるだけのことはしてあげたいな、と常に思ってはいる。ただ、志はあっても、なかなかそれを実行に移すのは難しいというのが正直なところではありますが。。
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