Obdachlose in Berlin / ベルリンのホームレス事情⑵

2017年に一度「ベルリンのホームレス事情」について取り上げたことがある。今回の投稿ではベルリンで今月末に行われるある調査について触れてみよう。

ベルリンのホームレスの数は6000人から1万人の間だと推測されている。しかし、この数字はあくまでも推測の域を出ておらず、これまでに男女比や具体的な統計は取られていなかった。

パリやニューヨーク、ブリュッセルなど他の大都市ではすでにホームレスに関する統計が取られており、具体的な対策に生かされているようだ。

例を挙げると、パリでは2017年に行われた「Nuit de la Solidarite」(「連帯の夜」)というアクション後に女性のホームレスに対する緊急避難場所の数が増設されている。このアクションにより、ホームレスの女性の割合が2%ではなく、12%であることが明らかになったためだ。

ベルリンでもパリ同様、救助システムのオプティマイズを図りたい。パリの調査に同行したスザンネ・ゲレル教授(Susanne Gerull)はそう考えている。彼女はベルリンのアリス・サロモン専門大学(ASH Berlin)で「社会活動における理論および実践」を専門としている教授である。

Nacht der Solidarität

「Nacht der Solidarität」(「連帯の夜」)は1月29日から30日の夜22時から1時まで行われ、3727人のボランティアが道や広場、公園などにいるホームレスに声を掛け、出身国・年齢・男女比などを調べることになっている。

このアクションによる結果以前に、スザンネ・ゲレルはベルリン市に支払い可能な住居の確保と、既存する住居を経済的、社会的弱者にとってアクセス可能にすることを提案している。

「住居を持つことは基本的人権だ。」と貧困の専門家はいう。

住居問題の解決策としては、Housing First Berlinというモデルプロジェクトがすでに2018年10月にスタートしている。基本的なアイデアは90年代にアメリカで始められたホームレスのための住居斡旋事業である。

このモデルプロジェクトはベルリンの教会系福祉団体であるStadtmissionおよび青少年やホームレスへのサポート団体であるNeue Chance gGmbHによって運営されている。

Housing Firstの主な活動は年間に少なくとも40人のホームレスに賃貸契約付きのアパートを手配する、というものだ。住居の確保と同時に専門チームによる個々のニーズに合わせたサポートも受けられるようになっている。

家の近所の公園や最寄りの地下鉄で寝泊まりするホームレスの人々。彼らが今後、どうなるのか1月末以降の動向が気になるところだ。

参考サイト:www.berlin.de/nacht-der-solidaritaet
Berliner Woche: Nacht der Solidarität: Berlin will seine Hilfsangebote für wohnungslose Menschen verbessern

Vorsätze fürs Neue Jahr / 2020年の目標

昨年末はバタバタしすぎて、恒例の振り返りブログを書いていなかった。振り返りブログや目標設定のブログは現在の状況の反省にもなるので、「2018年を振り返って」や「苦手克服」などの投稿はたまに読み返したりもしている。

年末はブダペストに数日滞在していたので、「東欧に足を運ぶ」という目標は達成したことになるだろうか。ハンガリーは中欧だ、という意見もあるだろうが細かいことにはこの際目をつぶろう。

さて、今年はどんな年にしたいのか。以下、思いつく点を列挙してみた。

  1. もっと東欧に足を運ぶ
  2. 整理整頓
  3. 語学強化
  4. プログラミングの基礎習得
  5. マイプロジェクトの着手
  6. 営業

ざっと思いつくのはこれくらいだろうか。控えめに言って。

それでは上記を具体的にみていこう。

1. もっと東欧に足を運ぶ

これはまさに文字通りで、今年はもう少し東欧に行く機会を増やしたいと思っている。年末のブダペストはとてもいい旅だったが、次は冬休みに長女とブルガリアのソフィアに行けないかと思っているところだ。

できれば、モスクワも再訪してみたいところではある。今、一部で話題のグルジアのトヴィリシでもいい。

2. 整理整頓

例年は優先順位でいうと、限りなく下に設定されている整理整頓。どちらかと言えば、苦手項目に当たるのだが、今年は敢えて上位に設定してみた。

・必要のない衣類や物を捨てる(「こんまり」には興味が全くないので、あくまで自分ベース)
・書籍や書類など紙類の整理
・机周りの整理
・子供服の整理
・子供のいらなくなった玩具の整理 など

箇条書きにするだけで途方に暮れるが、まずは今月、衣類の整理から始めてみようと思う。

3. 語学強化

これも今更ながらのテーマだが、「もっと東欧に足を運ぶ」にも連動しており、まずはロシア語の強化を本格的にやりたい考えだ。英語、ドイツ語はもはや議論の余地なし。余力があればフランス語の基礎を。

ガチガチに考えると疲れてしまうので、Duolingoを少なくとも毎日5分はする、好きな映画を観てヒアリングを強化する、など楽しみながら取り組んでみたい。

4. プログラミングの基礎習得

こちらも大袈裟なことではなく、まずはHTMLやCSSなど当サイトを触れるくらいのコーディングの基礎をその都度使えるようにしたい。後は友人の勧めてくれたJavaScriptを触ること。

5. マイプロジェクトの着手

こちらについては目標1に設定してもいい項目。今年は本格的に「書く」ということに取り組むつもりだ。テーマは「90年代のベルリン」。

6. 営業

つまらない響きかもしれないが、端的に言うと、仕事を徐々に増やしていければ、というのが理想。撮影コーディネーターの仕事はもちろんだが、そこに通訳やライティング、その他へと取り組むジャンルも広げていければいいな、と考えている。今年の一時帰国は営業もしなくては!というところだろうか。

少なめに見積もっても6項目になってしまったが、皆さま2020年も何卒よろしくお願い致します。

Budapest – Perle an der Donau / ドナウの真珠ブダペスト⑷

前回の投稿では廃墟バーについてご紹介したが、今回は廃墟バーで日曜日に開かれているファーマーズマーケットについて少し触れてみようと思う。

今回の旅、実は事前に全くブダペストについて予習をする余裕がなかった。通貨のことも何ならAirbnbでとったアパートの入室の仕方でさえ、当日に慌てて確認をしたほどだった。

しかし、そこはさすがの同級生。彼女は私が唯一といってもいいほど旅を共にしていても全く疲れない人なのだが、リサーチ力も行動力も半端ない。イギリスの大学院留学経験あり、中米での滞在経験も数年ありと、とにかく海外慣れした人なのである。

ブダペストの街歩きにおいても、事前に気になるところを山ほどピックアップしてくれており、街中のショップやカフェは彼女が見つけておいてくれたところだ。この場を借りて感謝しておきたい。

さて、そんな彼女のアイデアで日曜日に開催されているという廃墟バーでのファーマーズマーケットにて待ち合わせすることになった。

昨日は夜の顔、今日は昼の顔。

入り口付近は既に地元民と観光客でごった返していた。

ブランチもやっているようだ。こちらもなかなか良さそう。

夜はDJブースが入っていたフロアが週末はマーケットに。昼と夜ではずいぶんと印象が変わる。

中庭にも作り手の見える新鮮な商品が並ぶ。きのこジャムやトマトジャムなど、他ではあまり見られないラインナップなどもあり、見ているだけでも楽しい。

少しお腹が空いたのでチャリティークッキングなるものを見つけ、ハンガリーの家庭料理でランチタイム。キャベツとお肉がたっぷり入ったマイルドな一品だった。サワークリームも手作りで濃厚な味。

戸外の中庭で食べるのもいいが、寒い日には建物内にも十分なスペースが設けられている。週末なのでブランチ客の家族連れも多かった。

The Sweet

廃墟バーのマーケットを堪能した後は、古着屋やアンティークショップをのぞきながらそぞろ歩き。これまたファンシーなケーキ屋さんを見つけたので入ってみることに。

ピンクが基調の内装で別世界のような可愛いお店。ケーキもコーヒーも美味しかった。

Párisi Udvar Hotel Budapest – 5区

ブダペストも歩くエリアによって街並みが変わる。こちらは5区の落ち着いた佇まいのエリアのようだ。とにかくどこを切り取っても絵になるのには驚かされる。

コシュート・ラヨシ通りの南側にハンドバック専門店Tatikaがあるというので、散歩がてら覗きに行くことにした。

ハンドバック専門店 Tatika

手頃なプライス価格でカラフルなプリント生地のハンドメイドのバッグが店内にたくさん展示販売されている。お土産にも最適だ。

本当はショップやカフェ、ルダシュ温泉などについてもご紹介したいところだが、キリがないのでこの辺で。

ブダペストには目的地がたくさんあるので、機会があれば是非一度足を運んでみてください。

Budapest – Perle an der Donau / ドナウの真珠ブダペスト⑶

前回の投稿では主にブダペストの中心部7区での散歩についてご紹介したが、今回は同じ7区にある「廃墟バー」について書いてみようと思う。

ベルリンで「廃墟バー」と言えば、今はなきTachlesを指す。その現代版と言えるのがHolzmarktに当たるだろうか。

しかし、ブダペストには90年代のベルリンを象徴するような空間がまだ街中にちらほらと残っている。

カスィンツィ通り

観光地としてもすでに有名らしく、廃墟バーのあるカスィンツィ通り(Kazinezy uteca)はかなり賑わっていた。

Szimpla Design Shop

廃墟バーに併設されたデザインショップもなかなかいい感じのお店だ。

Szimpla Kert – 廃墟バー

冬場は午後4時を過ぎると既に日が落ちて辺りは薄暗くなってくる。そんな中、入り口付近に座っていたガードマン(?)がカメラ目線で笑っていた。「廃墟バーはあそこに違いない。」そんな感じだ。

ベルリンのTachelesのような広い敷地ではないが、以前は古い工場だった場所らしい。Szimpla Kertがオープンしたのは2002年。ブダペストのオルタナティヴシーンの先駆けとなったようだ。

ここではオープンエアシネマやパブ、コンサート、シアターやその他様々なカルチャーイベントが企画されている。

時間がまだ早かったせいか、中に入ってみると人もまばらでそれほど混んではいなかった。

この廃墟バー、ベルリンほどのアングラ感はあまりない。どちらかと言えば、ベルリンのそれよりもかなり洗練された印象を受ける。

店内ではベビーカーも見かけた。飲食スペースも十分にあり、ゆっくりと腰を据えて長居できるスペースが取られている。

かなり短いが、店内の雰囲気が少しでも伝わるよう動画をアップしておこう。

さて、この廃墟バーでは週末にはファーマーズマーケットが行われているのだそう。それについてはまた次回に。

Budapest – Perle an der Donau / ドナウの真珠ブダペスト⑵

前回の「ドナウの真珠ブダペスト⑴」ではハンガリー語やブダペスト市内交通について述べるだけに終わったが、今回は実際に街を歩いてみて感じたことなどを中心に書いていこうと思う。

Airbnbで予約したアパートのある場所から北へ行くと、カフェやブティックの並ぶErzsébetváros (7区:エリザベス市)区に入る。

対岸のブダ側にアパートをとった友人とはハンガリー産のスニーカー専門店Tisza Shoesで待ち合わせることにした。

シンプルなデザインに一目惚れ。カラフルなデザインのスニーカーを一足購入。シューズによって素材が異なるので購入の際に店員さんにサイズ感について少し相談。とても丁寧にこちらの質問に答えてくれた。ハンドメイドなので、在庫が少しずつしかないが、お気に入りの一足が見つかってよかった。

さて、次はPRINTAという工房が併設したデザインショップへ。

Printa

環境に優しい素材や製造方法にこだわって作られた服やポスターなどセンスの良い品々が並ぶ店内。友人はここで迷わずワンピースを購入。

ブダペストはグラフィックに強いのか、このようなポスター類をあちらこちらで見かけた。

Blue Bird Cafe

少し歩き疲れたので、隣接するBlue Bird Cafeで一休みすることに。店内には天井から鳥かごが釣られており、内装が素敵なカフェだった。

カプチーノとバナナマフィンで軽めのランチに。気になるお値段だが、ベルリンのミッテ地区に比べると若干安いくらいだろうか。

カプチーノが690フォリントなので、2,30ユーロくらいだ。シューズやデザインショップなどのプライス設定もワルシャワほど安くはないが、ベルリンよりは安くクオリティーが高いように感じる。

7区を散歩していると、ルービックキューブが壁面に描かれていた。そう、このルービックキューブ、実はハンガリーの建築学者でブダペスト工科大学教授だったエルノー・ルービックが1974年に考案したもの。

ポリテクニカ社の「マジック・キューブ」

ルービックは「マジック・キューブ」という名前で特許を取得、1977年にはハンガリーの「ポリテクニカ」という玩具製造会社から最初のキューブが発売されている。ルービックキューブがハンガリーと縁があったとは驚きだ。

建物の中庭に当たる通路を利用したマーケットなどもかなり充実している。市内ではクリスマスを過ぎてもまだクリスマスマーケットが開かれていて訪れる人も多く活気があった。

市内のあちらこちらにベルリンの90年代を彷彿とさせるような廃墟が見受けられた。次回はブダペストの廃墟バーなどについて触れたいと思います。

Budapest – Perle an der Donau /ドナウの真珠ブダペスト⑴

10年ほど前に一度足を運んだことのあるハンガリーの首都、ブダペスト。昨年末に引き続き、中高時代の同級生と合流することに決めたのは「ドナウの真珠」と呼ばれる美しい中欧の都市だ。

ハンガリー語は残念ながらさっぱり。言語的にも全く取っ掛かりのない言葉なので、「ありがとう、さようなら。」ですら既にお手上げ。旅先では基本的な挨拶くらいは現地語で言えるようにしたいと思っているものの、ハンガリー語はハードルが高すぎた。

Köszönöm [køsønøm], Viszlát! [vislaːt] (クセノム、ビスラート)

カタカナでそれらしき音を書いた紙を見ながら3日間の滞在中に実際に言おうと試みたが、結局覚えたのは「ありがとう」だけだった。

ハンガリー語が使用されている地域

ウラル語族のフィン・ウゴル語派に分類され、フィンランド語やエストニア語と同系統の言語であるが、意思の疎通がまったくできないほどの大きな隔たりがある。歴史的経緯からスラヴ諸語やルーマニア語とドイツ語(オーストリア語)とイタリア語の影響をある程度受けているが、インド・ヨーロッパ語族(ヨーロッパで話される諸言語の多くが属する)とは系統が異なり、姓名や日付などの語順もインド・ヨーロッパ語族の言語とは異なる。

ウィキペディア「ハンガリー語」より

これだけ読んでも余りピンと来ないが、とにかく発音が複雑で覚えづらい言語である。

言語的にはかなり特殊なようだが、ブダペストは相変わらず美しい街だった。

セーチェーニー鎖橋

ブダペストといえば、その夜景の素晴らしさには定評がある。セーチェーニ鎖橋は1987年に「ブダペストのブダペストのドナウ河岸とブダ城地区」の一部として、ユネスコの世界遺産に登録されている。

この写真を年末年始の挨拶と共に送ったところ、何人かから「ロンドン?」という返事が返ってきた。実はこの橋、設計したのはウィリアム・クラークというイングランドの技師。

ブダ城
市街地

市街地はバスやトラム、トロリーバスを始め、ロンドンに続いて世界で2番目に開通した地下鉄も通っているので非常に便利だ。

空港から市内までは2017年7月から100Eの空港シャトルバスが運行しており、30分くらいで中心地に出ることができる。チケット購入はBKKのカウンターが空港の第2ターミナルを出てすぐのところにあるので、往復でチケットを購入しておいてもいいだろう。

BKKのホームページより

少し気になるのは車の多さくらいだろうか。

自転車道なども余り整備されていないのか、市内ではほとんど見かけなかった。ただ、シェアバイクのスタンドやキックバイクは街中で見かけたので季節が変われば利用する人はそれなりにいるのかもしれない。

散策するのにはもってこいの街なので、市内交通をうまく利用しながら是非一度歩いてみてはいかがでしょうか。

次回は市内を歩いた感想について書いてみたいと思います。

Weihnachtsbasar an der Schule / 小学校のクリスマスバザー

早いもので、今年もすでに12月。この時期は学校の行事も増え、何かと慌ただしい。

バタバタと忙しくても必ず足を運ぶのが、長女の小学校のクリスマスバザーだ。その充実ぶりには毎年感心させられる。

今年は日本語補習校の日と重なったが、クリスマスバザーに連れて行くことにした。長女にとってもクラスメートと遅くまで学校で遊べるので特別感がある。

そんな日に日本語の補習校へ連れて行ってもこれまた逆効果。日本語の補習校のせいで楽しいことができない!と刷り込んでしまっては大変だ。

長男は別の小学校に通っているので、迎えに行って休憩してから向かったが、家でのんびりしすぎて出遅れてしまった。長女から「ママどこ?もう来てる?」と催促の電話を受け慌てて出発。

17時過ぎに学校に着いた時はすでに真っ暗。

中庭ではキャンプファイヤーを囲んでStockbrot(文字通り棒にパン生地を巻いてあるもの)を焼いている子供たちの姿が目に止まった。

その他、ケーキやクッキー、コーヒーなどのスタンドに焼きソーセージの屋台も出ている。

クッキーで腹ごしらえをしてから、メインのクリスマスの手作りコーナーへ急ぐ。

毎年、少しずつ内容が変わっているが、子供も大人も作って楽しいアイデアに溢れた手作りコーナーが大好き。2年生の息子はまだ喜んで参加するが、5年生の娘は友達と遊ぶことに夢中でこちら側には参加しなかった。

そんな娘のためにお菓子のキャンドルをせっせと作る。手作りコーナーは1ユーロ〜2ユーロの料金設定で、すべて学校への寄付に回される仕組みだ。

こちらのお店では生徒や先生が作ったグッズが販売されている。クォリティーの高さに毎年驚かされる。ルーマニア人の保育士の先生は日本好きな方で、日本で刺し子セットを購入し、手作りのしおりを販売されていた。娘と私でふたつお買い上げ。

放課後に生徒たちが過ごす部屋

長女の小学校はモンテッソーリの教育方針を取り入れているのだが、とにかくホート(日本でいう「学童」に近い)の充実度が半端ない。手作りのための材料がきちんと準備されており、保育士の先生方のアイデアも豊富。

二つ目は天使のツリー飾りを作ってみることにした。針と糸を使ったり、紙をジャバラに折ったりと少しハードルが高い。小さな子供がそれでも一生懸命、親や先生に助けられながら作っているのが微笑ましい。

「難しいな、ママ。」

そんなわけで更新が大幅に遅れてしまったが、今年のクリスマスバザーもとても充実した内容で大満足。いつものように2つくらい手作りの工作をやってから、腹ごしらえに締めのパンに挟まれたソーセージ、Bratwurstを食べて帰宅した。

Systemsprenger / システムクラッシャー

今年のベルリン映画祭で時間的にタイミングが合わずに観られなかった映画が一本あった。

Systemsprenger

© kineo Film / Weydemann Bros. / Yunus Roy Imer

フォスター・ファミリー、生活共同体、特別学校。ベニーはどこへ行こうが、すぐに飛び出してしまう。嵐のような9歳児は青少年課が「システムクラッシャー」と名付けるほど。そんなベニーの願いはただひとつ。かけがえのない愛、安心できる場所、そう、ママのところに帰ること!しかし母親のビアンカは行動が予想できない自分の娘のことを恐れている。ベニーに居場所がなくなり、解決策も見えなくなった時、反暴力トレーナーのミヒャは怒りと攻撃の螺旋から彼女を自由にしようと試みる。

あらすじを載せておいたが、明るい映画では決してない。

救いがあるとすれば、ラストシーンくらいだろうか。

娘がちょうど10歳なので、9歳の主人公の女の子の境遇を思うと、どうしようもなくやりきれない気持ちにさせられる。ある意味、彼女を取り巻く状況にはまったく救いがないからだ。

完全な負のスパイラル。

期待と裏切り、失望と絶望、のようなもの。

そして9歳児の持ち得る怒りと攻撃性には度肝を抜かれる。

それでも、子供らしい一面も彼女にはまだ残っている。

そのアンバランスさが切ない映画だ。

子供を持つ親には今すぐ観てほしい映画であるし、そうでない人たちにも一度は観ておいてほしい映画である。

「母親」あるいは「父親」であることの意味を真っ向から問いかけられるような強さのある映画だ。

子供の未来を大人のエゴや暴力で潰してはならない。

Systemsprengerは第69回ベルリン国際映画祭で銀賞を受賞している。

Regie, Buch: Nora Fingscheidt

Helena Zengel (Benni)
Albrecht Schuch (Michael Heller)
Gabriela Maria Schmeide (Frau Bafané)
Lisa Hagmeister (Bianca Klaaß)
Melanie Straub (Dr. Schönemann)
Victoria Trauttmansdorff (Silvia)
Maryam Zaree (Elli Heller)
Tedros Teclebrhan (Robert)

Claire / クレールが探す「幸せ」な「普通」の日々

今日は珍しくフランス発のコミックの紹介をしたいと思う。

アマゾンでタイトルを見ただけでは正直、読みたいとは思わなかった類の本だ。
クレール パリの女の子が探す「幸せ」な「普通」の日々。

パリの女の子と言われても、また偏ったキラキラしたパリジェンヌのお話かと勘違いしてしまう。

内容紹介を見ると、表紙の雰囲気とは少し違った内容であることが分かる。

今を生きる、悩める女性に贈るフレンチコミック。

仕事は順調。でも恋愛は長続きせず、結婚は夢のまた夢。
そんな「今」を生きる30代中盤、独身の女性の
シビアな悩みと、これからをどう生きて行くのかを描いた物語。

ただ、ここまで読んでもまだ余りピンと来ない。30代中盤、独身というキーワードのせいだろうか。

しかし、今回はある知人の紹介で読んだ方がいいよ、と勧められた。前回のお薦めがドンピシャだっただけに読まないではいられないではないか。とにかく自分の人生において、こういった類の人の存在はとても重要である。

さて、半信半疑ながらもページをめくっていくと、完全にこの本の謳い文句や表紙のデザインのせいで、その内容が全く伝わっていないことに気付かされた。

何ともシビアでストレートな内容だったからだ。

パリジェンヌのキラキラした生活などそこには微塵もなく、一人の自立した女性の仕事、男女づきあい、悩み、結婚観、出産などについて赤裸々に描かれていたからだ。

特に性生活や同棲、結婚に至る下りは女性だけではなく、男性にも読んでほしい内容になっている。

もうすぐクリスマス。シビアな現実に気付いてもらうため、今後の関係をより良いものにするためにもパートナーにとって最適な贈り物になるかもしれない。

そう言えば、生理バッジに関するサンドラ・ヘフェリンさんの記事にもこんな下りがあり、ハッとさせられたので引用しておこう。

「ニッポンでは『自分から言うのは恥ずかしい』『自ら求めるのはおこがましい』という気持ちがあって、思いやりの行為を相手の親切心や良心に委ねる傾向があります。」

ここが変だよ、ニッポンの生理バッジ!「ただいま生理中」を公にする違和感について 

この日本的な思考に対しても、クレールの女友達はバッサリ切ってくる。

著作権の問題があるが、1ページだけスクショを貼っておこう。

クレール、ぜひ一度読んでみてください。