Der Humboldt Forum / フンボルト・フォーラム

ベルリンで未完成の建築プロジェクトと聞いて、まず思い浮かぶのがFBBではないかと思う。そう、いつまでたっても完成しないベルリン・ブランデンブルク国際空港(FBB: Flughafen Berlin Brandenburg)のことだ。
地下鉄の55番線(U55)の延長工事もいつまで経っても終わらないし、ベルリンにはドイツの首都でありながら、未完のままの残念な建築プロジェクトが後を絶たない。
前置きの事例はともかく、期待できそうなプロジェクトが表題のフンボルト・フォーラムである。これは1950年に東ドイツ政府によって取り壊されたベルリン王宮跡に建設中の複合文化施設である。
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上の写真は1946年の東ベルリンの様子だが、戦火によりベルリン王宮も甚大な被害を受けたものの何とか外観は崩れずに残っている状態であった。修復すれば保存できたはずの王宮はしかし、東ドイツ政府によってプロイセン軍国主義の象徴とみなされ取り壊されてしまう。

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王宮の取り壊し工事 / Bundesarchiv, Bild 183-07964-0001

そしてその跡地に東ドイツ政府は共和国宮殿(Palast der Republik)なるものを建設したわけだが、こちらも東西ドイツ統一後に議論の末、2006年から解体作業が始まり2008年末にようやく完了した。
ベルリンは歴史に翻弄され続けてきた街だが、このベルリン王宮やその跡地はまさにその象徴的な建造物であり場所のひとつだ。「崩壊する新建築」とも訳せるEinstürzende Neubautenが取り壊し前の共和国宮殿内でコンサートを行ったのも、偶然ではないだろう。

ところで、ドイツ連邦議会はフンボルト・フォーラムの構想を既に2002年に可決していたようだ。多数の超党派の議員により、国際的な専門委員会「ベルリンの歴史的ミッテ地区」の推薦する博物館、学術及びビジターセンターの入った建物とベルリン王宮のバロック調のファサード案が採決された。そして、この原案のもと、2008年にイタリア人の建築家、フランコ・ステラ(Franco Stella)が国際コンペで一位を勝ち取ったのである。

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Die Passage an den Tagen der offenen BaustelleJuni 2016. Im Hintergrund der Lustgarten. © Marco Urban / Stiftung Humboldt Forum im Berliner Schloss

建物内部を貫く歩行者用の「パサージュ」が城と中庭を新たな公共の場にし、シュプレー川沿いには現代建築のファサードを見せる。写真ではルストガルテンの旧博物館が背景になっているが、ベルリン大聖堂や美術館島と調和した豪華なアンサンブルになることだろう。

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Das Humboldt Forum im Berliner Schloss im September 2016, Ansicht von der Rathausbrücke.  ©Stephan Falk / Stiftung Humboldt Forum im Berliner Schloss

個人的には東ドイツを象徴していた悪趣味な共和国宮殿が解体されるのは残念な気がしたものだが、変化のスピードが2000年以降、爆発的に加速を続けるベルリンではゆっくり感傷に浸っている暇などないのだ。悲しいことに。
2019年からはフンボルト・フォーラムで常設展示が始まる。以前、ダーレムにあったプロイセン文化財団の管轄である民族博物館およびアジア美術館が移転してくることに加え、文化プロジェクトベルリンおよびベルリン市立博物館によるベルリン関連の展示、そしてフンボルト大学によるフンボルト研究所の三本立て。もちろん、そこに特別展示も加わることになる。
ベルリンの中心地といった象徴的な場所だけに、そのコンセプトには十分な配慮がなされているようだ。時事問題のテーマである難民やグローバル化、全ての人に開かれた対話のための場所といったキーワードがフンボルト・フォーラムのサイトには並んでいる。
ベルリンの歴史を振り返りつつ、未来を見据え様々なダイアローグが交わされる希望のある場所になることを期待したい。
タイトル部分の画像:© SHF / Stephan Falk

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