コロナ後遺症〜ロングコビット〜

最近、ようやく感染者数も死亡者数も減りつつあるベルリンだが、昨年の冬から4月くらいまでは周囲でも感染に関する知らせが絶えなかった。感染も時間の問題だな、と思っているうちに小学校に通う息子が頭痛を訴え、自宅で行った抗原テストで陽性反応を出した。そして自分も、頭痛や軽い咳が続いた数日後には陽性になってしまう。

高熱は出なかったものの、微熱かそれ以上の熱が数日の間続いた。そして、それに伴い咳もひどくなっていく。3日目くらいに水を飲むのも辛いほど喉が痛んだ。幸い、1日半くらいで治ったがちょっと心配になるくらいの痛みだった。外出できない間はスーパーの配達サービスでことなきを得た。10日目にようやく陰性に。結局、娘も感染してしまったが、唯一相方が感染しなかったのが不幸中の幸いである。

その後、子どもたちは問題なく回復したが、私の方はいつまで経ってもしつこい咳が残った。それだけでなく、倦怠感や気管周辺に圧迫を感じたり、肺に痛みを感じるようなことも起こった。これはいわゆる「ロングコビットでは」と暗澹たる気持ちになったが、2ヶ月くらい経って、ようやく軽く走れるくらいにまで回復した。

知人に教えてもらったベルリンのシャリテー医科大学病院がまとめた情報が役に立ったので、まとめておこうと思う。

ロングコビットとは何か

コロナに感染すると、軽症の場合でも症状が続く患者が多数存在する。感染後4週間が経過しても、約20%、6ヵ月後にも約10%に何らかの症状が残っているという調査結果がある。最も一般的な症状としては、疲労感、呼吸困難、嗅覚・味覚障害などが挙げられる。睡眠不足や労働が原因ではない疲労が、ウイルス感染後に起こることがある。通常は短期間で終わるが、時には数週間から数ヶ月続くこともある。さらに、感染した感じが続いたり、集中力や睡眠障害、筋肉痛や頭痛などの症状が伴う場合は、ウイルス後疲労症候群(PVFS)とも呼ばれている。また、起立性調節障害(Postural Tachycardia Syndrome: POTS)が発生することもある。これは、自律神経失調症状のひとつで、怠慢なのではなく、「起立や座位で脳血流が減少し、思考力と判断力が低下する」身体の病気である。原因はよく分かっていないが、免疫系が感染から回復していないことが考えられる。

PVFS症状などが続く場合には

陽性から陰性反応になっても、上記のような症状がある場合は、4週間後に該当するクリニックでの診断を受けるように推奨されている。さらに、症状が半年以上続く場合には、慢性疲労症候群の検査を大学の神経内科で受ける必要があるとのこと。診断と治療に関する情報は、こちらから。

https://cfc.charite.de/

日本でもロングコビットを専門にする診療所がいくつかあるようだ。「新型コロナ後遺症外来 都道府県」で検索すると出てくる。こちらは大阪の北野病院のサイトになるのでご参考までに。

以下の新型コロナ後遺症受診チェックシートも後遺症かどうか自分では判断がつきにくい時に、スコア化できるので目安になるのではないかと思う。

https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/204845/check02.pdf

慢性疲労症候群の治療

治療で重要なのは、昔から言われている「回復期には無理をしない」ということである。すなわち、十分な睡眠をとり、昼夜のリズムを正常に保ち、ストレスの多い状況を避け、回復を感じるまでスポーツをしないなど、休養とリラクゼーションをとることが大切だ。心身の過労や、症状の悪化につながる過度の刺激(テレビ、コンピュータゲーム、携帯電話)は避けたい。自律訓練法、瞑想、あるいは簡単な呼吸法などのリラクゼーションテクニックが有効になる。慢性疲労症候群によって、マイナス思考やうつ状態に陥る方は、かかりつけの医師に相談し、必要であれば治療を受けること。 免疫活性化と疲労の原因として考えられるアレルギー症状や過敏性腸症候群は治療する必要がある。 食事は十分なタンパク質(1g/kg bw)と多価不飽和脂肪酸(オメガ3、クルミ)をバランスよく摂取し、不足があれば改善する。血糖値が急激に上昇する単純糖の取りすぎは、疲労感を増大させる。

その他の症状には

睡眠障害
・ジフェンヒドラミンなどの第一世代抗ヒスタミン薬、例えばvivinox® SLEEPなど。
・メラトニン、サーカディン、55歳から償還可能
過敏性腸症候群
・不耐性乳糖、果糖などの発酵性糖類、FODMPAP(小腸内で消化・吸収されにくい糖類の略称)、ヒスタミンが多い食品、サイリウムハスクの摂取を控える。
アレルギー
・強度のアレルギーの場合は、抗ヒスタミン薬(フェキソフェナジンなど、眠くならないもの)を服用。
サプリメント
・毎朝ビタミンD 1000E – 2000E
・ 鉄(フェリチン30未満の場合)、葉酸、亜鉛、セレン(減少している場合)
ヴィーガン/ベジタリアン/偏った食事を補いたい場合
4週間ビタミンB群を摂取 :ビタミンB複合体フォルテ ラチオファーム®

めまい、頻脈、高血圧の新規発症の場合:循環器系の検査を受ける、 水分補給を頻繁に(1時間毎に、夕方以降は控える)、足を高くする、サポートストッキングの着用

新規高血圧の場合:ACE阻害薬 2.5 – 5 mg

以下、ドイツ語バージョンも貼っておきます↓

以上が、ベルリンのシャリテー医科大学病院がまとめたロングコビット情報になるが、さらに詳しく知りたい方は参照したPDFの中に記載されている参考文献を読むといいだろう。

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://cfc.charite.de/fileadmin/user_upload/microsites/kompetenzzentren/cfc/Landing_Page/Therapieempfehlungen_PVF_4_21.pdf(開かない場合はブラウザにコピペで)

喉の痛みについて検索していた際に見つけたこちらのサイトも貼っておきます。

日本のサイトにもかなり情報が上がってきているので、お困りの方は是非。個人的には上記の「その他の情報」はロングコビットの症状がなくても参考になるのではないかと。とにかく日々の生活ペースをできるだけ整え、極力ストレスを溜めない生活ができるのが理想だということは間違いないですね。



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