【ベルリン】最近のコロナ事情〜2Gルールとブースター接種〜

ドイツ全国での事情はここでは網羅できないが、ベルリンにおける最近のコロナ関連のルールで気になるものをいくつか取り上げてまとめてみた。かなり個人的な振り返りも交えながらになるが、お付き合ください。

1)長期ロックダウン終了と夏季休暇

今年5月初頭に半年に及ぶロックダウンが終わってからというもの、「コロナ関連ルール」を懸命に追うことをやめてしまった。単にロックダウン中の学校閉鎖とホームオフィスの同時進行で受けたダメージが大きすぎたのだ。それに、あまりにも目まぐるしく変わるルールを逐一追うのに疲れてしまったのである。

6月下旬から始まった、2ヶ月ほどの学校夏季休暇では、子供たちと宿題をすることすら放棄することにした。名目の上では「ロックダウンからのリカバリー」ということになる。今から思えば、もうそのくらい「家庭学習」そのものにうんざりしていたのだ。

もちろん、その弊害は息子が小学校4年生に進級して、すぐに表面化することになった。新任の先生がこれまでの先生と全く逆のタイプで、突然採点が厳しくなったことが拍車をかけた。ただ、そのおかげで「ロックダウンによるが学力低下」に直面することになり、宿題や家庭学習を放棄している場合ではないことに気付かされた、というわけだ。

親も子もロックダウンから日常生活に軌道修正するのに、かなりの時間を要したことになる。

一方、ギムナジウムに無事に進学した娘の方は、とことんマイペースを貫いている。子供の性格が大きく影響するのだろう。

2)ロックダウン終了から半年後・2Gルール

あれから半年。コロナ情報も最近では、Twitterのタイムライン上で偶然目にしたニュースで情報を確認する程度になった。もしかすると9月末に行われたドイツの総選挙でコロナ関連のニュースが減ったり、それまでは定期的に行われていたプレス会議などがなくなったことにも起因しているのかもしれない。

最近のコロナ規制の変化といえば、ベルリンの小学校で10月初頭にマスク着用義務が解除されることになったニュースの印象が強い。昨年の感染率の伸びた時期を考えると、全く辻褄の合わないおかしなタイミングでの解除だったからだ。これから寒くなって感染者が増えるであろう時期になぜ敢えてマスクをやめるのか。息子は自主的に義務がなくなってからもマスクをして授業を受けていた。担任の先生が嬉々としてマスクをせずに授業をする中、一番前に座っている息子はマスクを着けて授業に臨んでいたことになる。「なんでコロナなくなってないのに、マスクしなくていいの?注射もしてないのに。」本当にその通りだと思う。

ワクチン接種率が60%を超え、これまでの規制が緩和されたことや市民の気の緩みが原因なのだろうか。それともただ単に気温が下がり、室内にいる時間が長くなる季節になったからだろうか。はっきりとした原因は定かではないが、昨年より少し早い時期に、既に感染者数の上昇が止まらず、先日11月8日にはとうとうこれまでの7日間指数の最高値を叩き出してしまった。以下、参考までに11月8日付のrbbの記事を貼っておこう。タイトルは「新規感染者数が勢いよく増加、ドイツ全国の7日間指数が過去最大に」。

Die Zahl der Neuinfektionen steigt kräftig, die bundesweite Inzidenz ist auf einem Höchststand.

https://www.rbb24.de/politik/thema/corona/beitraege/2021/11/berlin-bettina-jarasch-neuinfektionen-lockdown-impfung-impfzentren-2g.html

この中で、示唆されているのがいわゆる2Gと言われるルール導入だ。これまでは3Gが一般的だったが、それをさらに厳しくしたものが2Gルール。どういうことかというと、カフェやレストランなどの飲食店利用や各種イベント、文化施設を訪れる場合に「ワクチン接種済み」か「コロナウイルス感染症の回復者」である必要がある、ということになる。

ただし、現状ではまだ、2Gルールを適用するかどうかは、あくまでも店や各施設の判断に任せる、ということになっている。感染者の増加が目立って高いザクセン州では11月8日から2Gルールが一律に施行された。ベルリンでも、ルール適用についての討議が行われているようだ。

適用、ということになれば、これまでは24時間以内に取得した迅速テスト(PCRより簡易タイプの検査)の陰性証明を提示すればよかったのが、対象外になってしまうことになる。「ワクチン未接種者限定のロックダウン」という言い方をされることもあるのはこのためだ。病気などが理由でワクチン接種できない人は医師による証明書かPCRテストの陰性証明で代用できるらしい。

子供への対応だが、ワクチン接種ができない12歳未満の子供であれば2Gルールは適用されない。言い換えると、12歳上にはルールが適応される、ということになる。子供に急いで接種させたくない親もたくさんいるだろうし、これは割と厳しいルールなのではないだろうか。

ただ、ベルリンで日常生活を送る上で2Gルールが適用可能でも、実際に適用されているというケースはほとんどない。先日、たまたま近所のカフェレストランでランチをしたが、店のホームページには2Gルールに従います、という記載があった。店内に入るための入り口が一か所になっており、入ってすぐのところでデジタルパスを見せると入ることができた。今後、こういった店が増えていくのかもしれない。

一方、感染者増加を受けて、ベルリン市の学校局も動いた。今週中にマスク着用義務を復活させる、という決定が出たのである。息子に伝えると、「ずっとしてたし。またみんながマスクするんやったらよかったわ。」と言っていた。小学生は年齢的にもワクチン接種対象外なので、マスク着用義務の知らせには正直ホッとした。これで何とかクリスマス休暇前まで持ち堪えて欲しい。

3)ブースター接種について

もうひとつ事情をよく把握できていないのが「ブースター接種」の実施状況である。以下のグラフィックは11月9日現在のドイツ各州のワクチン接種完了率を表したものになる。ドイツ全国では67.2%という数字になっている。

出典:連邦保健省のサイトhttps://impfdashboard.de/より

以下は11月5日付の連邦保健省による「ブースター接種」についてのまとめである。

ドイツ予防接種常設委員会(STIKO)推奨のブースター接種の内容とは?

mRNAワクチンによるブースター接種の安全性、免疫原性、有効性に関するデータを検討した結果、予防接種に関する常設委員会(STIKO)は、慎重なリスク・ベネフィット評価を行った上で、以下のグループに対してブースター接種を推奨しています。

・70歳以上の者
・高齢者施設の入居者または介護を受けている者(70歳未満を含む)。
・複数の被介護者と直接接触する介護者やその他の専門家、高齢者または重度のCOVID-19のリスクが高まっている者との接触がある施設での従事者。
・患者と直接接する医療施設のスタッフ。
・免疫不全症患者
・ジョンソン・エンド・ジョンソン社のヤンセン®ワクチンを接種済みの者

ブースターワクチンは、通常、1回目のワクチン接種が完了してから6ヶ月後以降に接種することが推奨されます。ジョンソン・エンド・ジョンソン社のヤンセン®ワクチンを接種した人、重度の免疫不全または免疫抑制状態にある人は、接種後4週間以内に基本的な免疫の最適化を受ける必要があります。

Stand: 05.11.2021

出典:連邦保健省 https://www.zusammengegencorona.de/impfen/aufklaerung-zum-impftermin/auffrischungsimpfung/

原則として、ワクチン接種完了済みであれば、誰でも追加接種を無料で受けることが可能だということもサイトの冒頭に明記されている。ブースター接種のタイミングも迷うところではあるが、接種会場の混乱や予約が殺到することも考えられるので、状況次第で判断しようと思っている。

2021年の夏以降、接種スピードが落ちているためかベルリン市内のワクチン接種会場のいくつかが閉鎖された状態のままだ。2Gルールの施行やブースター接種の希望者が増えることを見込んで、できるだけ混乱を避ける方向で進めて欲しい。

追記:

今日、このブログ記事を投稿した後に、ドイツの著名なウイルス学者であるシャリテ大学病院のクリスティアン・ドルステン氏の配信しているポドキャストに関する記事を目にした。タイトルはドロステン氏:「本当の意味での緊急事態だ」。

ウイルス学者のクリスティアン・ドロステン氏は、「コロナウイルス・アップデート」の最新ポッドキャスト・エピソードの中で、「無料の市民テストや広範囲で適用される2Gモデルのような対策では、第4の波を断ち切るための十分な速さの成果を上げることはできない」と述べている。「科学的な観点からは、接触を制限し、ワクチン接種のギャップを埋めることも考慮すべき」だとも。

NDR Info: https://www.ndr.de/nachrichten/info/Drosten-im-Corona-Podcast-Wir-haben-eine-echte-Notfall-Situation,coronavirusupdate214.html

端的に言うと、ワクチン接種者が自由に動き回っていることで、ブレークスルー感染をしていることに気付かず、同じ場所で食事をしたり、イベントに参加している未接種者に感染し、重症化する、という流れになってしまっているということのようだ。ドロステン氏によると、まだ1500万人の未接種者がおり、その中には高リスクグループも多数含まれていると。

現状を打破するためにドロステン氏は、「私たちは今、感染活動を再びコントロールしなければなりません。また、接触制限も必要です」と語る。これまでのグラフの推移から、ドイツ全市民の行動の変化が発生率の低下に寄与することが示されてきたからだ。

昨年のようなロックダウンはしない、という政府の方針や国民感情と科学者の警告がどこまで歩み寄れるのか。ドロステン氏は「ワクチン接種を義務化するというルールも考えるべきだ。」ということも述べている。

迅速な対応が望まれる。今月はおそらく重要なルールの変更があると思われるので、また随時ニュースをチェックするようにしたい。

追記2(2021年11月10日):

予防接種常設委員会(STIKO)が本日付けで、30歳未満へのmRNAワクチンの接種についてのプレスリリースを発表した。

ポール・エーリック研究所(PEI)の安全性に関するデータ及び国際的なデータに基づき、STIKOはCOVID 19の接種推奨を更新し、30歳未満の人にはコミルナティワクチン(BioNTech/Pfizer) のみの接種を推奨。この推奨事項は、基本的な予防接種だけではなく、ブースター接種にも適用される。以前に別のワクチンを使用していた場合でも、今後のワクチン接種はコミルナティで行うべきだとしている。コミルナティとスパイクバックス(Moderna) の妊婦への接種に関する安全性の比較データはないが、STIKOは、ワクチン接種を受ける際には、妊婦には年齢に関係なくコミルナティの接種を推奨するべきだとしている。

ロバート・コッホ研究所(RKI)のHPより https://www.rki.de/DE/Content/Kommissionen/STIKO/Empfehlungen/PM_2021-11-10.html

これから、ワクチン接種を考えている方はビオンテック・ファイザーのコミルナティワクチンを選択しておけば、現時点では問題ないかと。随時、データは更新されるのであくまでも現時点での指針だということになるが、ご参考までに。



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