ドイツの小学校で授業参観 〜Hospitieren in der Grundschule〜

ベルリンの小学校2年生の授業参観に行く機会があったので、そこで受けた印象などを少しまとめておこうと思う。

8:05 1時間目開始

担任の先生と朝の挨拶。ここで2人くらい遅れて教室に入ってくる。先生はそのことについて特に咎めたりもせず、席につくように促す。

授業参観になぜ来ているのか、そのテーマについて生徒たちと意見交換。

そこから、授業の進め方の説明があった。

学習内容をまとめたタスクシートから、授業中に何をしたいかを自分で決め、各自それに沿って学習を進める。まだ期限は設けていないそうだが、その内期限内に自分でペース配分ができるように持っていくのだろう。

2年生なので自分のやりたい順番にどんどんやらせているようだ。

タスクシート
  • Laut- Buchstaben-Sortiermaschine / 聞き取り練習
  • Wortkarten / 単語カード
  • Abschreibtext / 書き写し
  • Korrekturtext / 間違い探し
  • kreatives Schreiben / 創作文
  • Adjektive / 形容詞(触覚、味覚などテーマ別)
  • Sinneskrimi 1. Zirkus 2. die Treppe / 感覚をテーマにした探偵小説 (サーカスまたは階段を使う必要あり)

2年生のドイツ語力を鍛えるにはなかなかハードルの高い内容だと感じた。特に創作文や「感覚」をテーマに短いお話を考えるのはドイツ語が苦手な生徒にとってはかなり難しい。

クラス構成もドイツ人の両親を持つ子供ばかりではない。アメリカ、アラビア語圏、オーストリア(ドイツ語圏ではあるが)、イタリアー日本、ドイツー日本、日本と様々である。

よく見ていると、ドイツ語の少し弱い子供同士が一緒に行動するケースが目立つ。ネイティブの子供たちの会話スピードに恐らく理解がついていかないためだろう。そうなると、ますますノンネイティブのドイツ語力が伸びない可能性が出てくるので難しいと感じる。

また、算数の問題を理解するのにもドイツ語力が必要になるので、ドイツ語が弱い子供は結果的に算数も問題を解くのに時間が掛かることになる。先生曰く、ドイツ語力が弱いと、問題文を読んでみようとしない傾向が強くなるそうだ。

読んでもわからない→読まない→理解できない→集中できない

といった悪循環が生まれてしまう。そのうち、最初から話も聞かなければ、読もうという努力もしなくなるのだという。

そういう意味ではやはり移民背景を持つ子供たちが低学年の間にドイツ語力を小手入れすることが最重要課題だと感じた。

自主性を伸ばすにはよい方法だと思うが、子供のレベルを把握しづらく、できない子へのサポートがきちんとできないのではないだろうか。一クラス26人という構成なので、自主学習のサポートには教員が最低2人必要だろうと思う。

ただし、この小学校では1年生から3年生まで通して同じ先生が担任するので、先生も子供たちの学習レベルを把握しやすいのかもしれない。

クラスの中には障害を持つ子供もいるので(Integrationsschule / 統合学校)、その子専属の教員はひとり付いていた。補助の教員はしかし毎時間くるわけではないようだ。学習内容が異なるので、担任の負担が増えることになる。

日本の小学校と比べてドイツの小学校はとても自由だ。1時間目のドイツ語の授業中には教室を歩き回ったり、先生や友達に質問をしに行ったり、必要な教材を取りに行く姿が見られた。じっと座って課題に取り組んでいる子供の方が少ない。

鉛筆の持ち方も座り方も十人十色。
異文化を受け入れる大らかさはもしかすると、ここから始まるのかもしれない。

8:50 1時間目終了

授業の終わりには担任の先生が子供たちに自分の目標をどのくらい達成できたか手を上げ下げさせて確認していたのが面白かった。息子がなぜ家でたまにそのジェスチャーをするのかようやくわかった。

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