Berlin 1994 / 90年代のベルリン①’

93年に初めてヨーロッパ数カ所を一人でウロウロし、なぜかロンドンでもアムステルダムでもパリでもなく、その当時はまだ暗くて寂しかったベルリンに惹かれてしまう。

ADK94Xposition

日本に戻った後も、就職活動一色の周囲と波長が合わず、「なんでスーツ着てないの?」と不思議がられてばかりいた。「卒業したら、すぐにベルリンに行くから。」と馬鹿正直に答えようものなら、ますます怪訝な顔をされた。まあ、そういうものだ。

関西弁ペラペラのアメリカ人教授に「つまらないのはわかるけど、やめたらアカンで。ベルリンに行っても大学入学に役に立つから!!」と、今にも消えてしまいそうな私に待ったをかけてくれていたような記憶があるくらいだ。

結局、我慢できなくて在学中にまたベルリンに飛んだ。そして2度目のベルリンで芸術アカデミーの展覧会に足を運んだ。

ずいぶん前のことなので、どうしても時系列がはっきりしないが、また別のところから当時の写真が出てきたので展覧会について少し補足しておきたい。

Captain Space Sexのミラールームも、というより本人そのもののインパクトの方が強烈だったが、もうひとつの「なんだこれは?」がそこにはあった。

かなり大きな部屋に無造作に置かれたグロテスクな物体。部屋に足を踏み入れた瞬間、音に反応したのかモンスターの母親が乳母車をガタガタと押したり引いたりする仕掛けだ。赤ちゃんモンスターもギャーギャーと泣き始める。これがなんというか、かなり騒々しく異様な光景なのだ。

これには度肝を抜かれたが、Captain曰く、アンダーグラウンドシーンの若いアーティストをこれだけ集めた展覧会が芸術アカデミーというオフィシャルな場所で行われるのはベルリンでもこれが初めてだということだった。

この作品を作ったDead Chickensは、今でもミッテ地区、ハーケッシャーマルクトの近くにあるHaus Schwarzenbergの地下にMonsterKabinettを持っている。

私自身、まだこのキャビネットには足を運んだことがないので、子供と一緒に行ってみようかと思っている。十中八九は怖がるだろうな。。

1994年に芸術アカデミーで行われたX’Position展、今から思えば不思議な出会いをくれた展覧会だった。

タイトル写真@Mariko Kitai:”Mutti” by Dead Chickens

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